
山下美夢有は、2022年、23年と2年連続で日本ツアー年間女王となり、24年はポイントランキング2位に入った。25年に主戦場を米ツアーに移してからも、その実力を発揮している。
25年は25試合に出場して2勝。トップ25には、トップ10の12回を含む、17回入っており、抜群の安定感を見せた。ポイントランキングではネリー・コルダに次ぐ2位に入り、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
そして今季は、現時点では昨季以上とも言える安定感を見せている。15試合に出場して1勝。トップ25には、トップ10の8回を含む、12回入っている。ポイントランキングは4位だ。
山下の安定した成績を支えているものの1つがドライバーショット。飛距離が出る方ではないが、方向精度が高いショットを強みにしている。
フェアウェイキープ率は、国内ツアーを主戦場にしていた22年は5位、23年は1位、24年は2位だった。そして、米ツアーでは、昨季が3位で今季現時点が2位となっている。
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山下美夢有 各ツアーのスタッツ(7月27日時点) ※作成:SPREAD編集部
■テークバックでフェースを閉じる
山下の精度が高いドライバーショットのスイングは、オーソドックス。軸がブレない体の回転や体と手の同調、スイング中の各局面でのクラブのポジションやクラブヘッドの軌道など、多くが教科書通りと言えるもので癖が少ない。
特徴的なのはテークバック。始動してからクラブフェースを閉じている。始動でフェースが閉じる動きは、始動で手と体の距離を保ちつつ、クラブヘッドがインサイドに入らないように意識してきたことによって、表れているものかもしれない。
そして、フェースを閉じながらトップ・オブ・スイングへ向かうため、そのトップの位置でフェースが閉じている。
ボールを捕まえられる状態をトップの位置で作り、ダウンスイングからは躊躇なくフィニッシュまで振り抜いているのが山下のスイングである。
■すみやかに始動
山下のドライバーショットの精度が高いのは、スイングの動きや形の良さによるものだけではない。それらを生かす“始動前”にもポイントがある。
構えに入る。足踏みをしながら構えを整える。ここまでは、いたって普通の流れだが、ここから山下ならではの部分がある。始動までが早いのだ。
プレッシャーがかかる場面では、ツアー選手でも気になることが増え、構えを決めて始動するまでに時間がかかる場合があるが、山下の場合はそうなることは少ない。
構えを整え終えたらすぐに始動することは、過度な緊張を防ぎ、スムーズに始動しリズミカルにスイングすることにつながるのだが、山下はその利点を十分に生かしている。
山下のスイングの形は一朝一夕で習得できるものではないだろうが、構えに入る前から始動までの流れは、取り入れることは可能だろう。ショットの再現性を上げたいゴルファーは、参考にしてみても良いかもしれない。
■昨年大会優勝のAIG女子オープン
30日から、イングランドのロイヤルリザム&セントアンズゴルフクラブで、今季メジャー最終戦となるAIG女子オープン(全英女子オープン)が開催される。山下は昨年大会で米ツアー初優勝を飾り、今回はディフェンディングチャンピオンとして臨む。
ロイヤルリザムのようなリンクスコースは、点在するバンカーをどのようにして避けていくかもポイントになる。
「すみやかな始動」「リズミカルなスイング」「教科書通りのスイング軌道」でのショットが、バンカーを避けきる精度を発揮するのか注目だ。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。



