
村上宗隆内野手の本塁打量産に、西田陸浮内野手のデビューなど話題に事欠かない2026年のホワイトソックス。村上、コルソン・モンゴメリー内野手、ミゲル・バルガス内野手という看板打者が脚光を浴びる陰で、現在着々と存在感を増している男がいる。先発右腕のデービス・マーティン投手だ。
28日(日本時間29日)のツインズ戦でも6回を投げ被安打2、1失点の好投で勝利投手となった。今季11試合に登板、8勝1敗、防御率2.00、奪三振71、WHIP0.99という驚異的な数字を残し、FanGraphsが算出するfWARでは2.3を記録してリーグ全体5位。投手のみに限るとリーグ2位に食い込み、首位争いを続けるうえで欠かせない「もう一つの柱」となっている。
【動画】29日のツインズ戦投球ハイライト
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■ドラフト14巡目の下位指名から、手術を挟んだ長い道のり
1997年1月生まれ、29歳のマーティンは、テキサス工科大学を経て2018年ドラフト14巡目(全体408位)という、決して華やかとは言えないスタートでホワイトソックスに入団した。
マイナーリーグでは長く壁にぶつかり続けた。2019年のシングルA時代には防御率5.04、2021年もハイA・ダブルAを合わせて防御率4.91と苦しんだ。しかし、転機は2022年に訪れた。当時のコーチングスタッフとともにバイオメカニクスに着手し投球フォームを修正。同年5月17日にMLBデビューを果たし、初登板でロイヤルズ相手に7奪三振を記録。以降は先発とリリーフを往復しながらも一定の存在感を見せた。
しかし2023年、シーズン序盤に3Aで3先発を終えたところで右肘の違和感を訴え、精密検査の結果、肘の靱帯断裂が判明。トミー・ジョン手術を受け、長いリハビリ期間に入った。リハビリを終え、2024年7月に復帰すると、その年は10先発で防御率4.37とまずまずの数字。2025年には初めてフルシーズンをローテーションで回る機会を掴み、7勝10敗、防御率4.10という成績で「チームの働き頭」の役割を担った。

デービス・マーティンのキャリア成績
■多彩な6つの球種と際立つ制球力
マーティンの強みは、6種類の球種を操る多彩なレパートリーと、改善著しい制球力だ。25年はBB% 8.0%だったが、2026年は5.0%まで改善。今季67.2回で14四球とリーグ全体の先発投手陣の中でもトップの水準にある。武器として際立つのはカッターとスライダーのコンビネーションだ。カッターなのかハードスライダーなのかを見分けるのが非常に難しく、投げる割合も両者15%程度と打者の目線を惑わすうえで機能している。また5日のエンゼルス戦では7回10奪三振、無失点。11日のマリナーズ戦では6回9奪三振、1失点と、奪三振能力も明確に上昇しているのだ。
【動画】5日のエンゼルス戦投球ハイライト
一方、課題も正直に見ておく必要がある。Baseball SavantのxERAは3.55と実際の防御率を大きく上回っている。投手に対して不利な指標である被打球の平均打球速度90.4マイルやハードヒット率46.9%はリーグ下位圏内に位置する。また、またxBAも.252とコンタクトの質という点では打者に内容のある当たりを許しており、ファストボールも最速94.2マイル、平均球速90.4マイルと決して“速球派投手”ではないため、今後ある程度の成績後退がみられてもおかしくはないだろう。
しかしながら、ホワイトソックスの先発陣を見渡してみると、マーティンの重要性はさらに際立つ。昨年までNPBに在籍していたアンソニー・ケイ投手が4勝しているものの、柱となるべき投手が軒並み安定を欠く中、マーティンひとりが6回以上を毎回のように投げ切り、チームに勝利のチャンスを与え続けているのだ。
派手さはないものの、精密機械のようなコントロールで相手を交わしながらイニングを消化し続けるマーティン。夏に向け本格的な首位争いが始まる中、ホワイトソックスのエースとして29歳右腕が勝ち星を重ねていく。
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