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13日から英国のノースバーウィックにあるルネッサンスクラブで、全英オープンの前哨戦となる、スコットランドオープンが開催される。
松山英樹が優勝した2016年のフェニックスオープンで、その松山と激闘を繰り広げた過去もあるリッキー・ファウラーに注目したい。
ファウラーは2019年2月のフェニックスオープンの優勝から遠ざかっていたが、6月29日から開催されたロケットモーゲージクラシックで約4年半ぶりに優勝。6月15日から開催された全米オープンで優勝争いに加わるなど、すでに復活を感じさせていたが、この米ツアー6勝目はファウラー完全復活を強く印象づけた。
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■‟急降下”からの‟急上昇”
ファウラーは2014年の4大メジャーですべてトップ5に入る活躍を見せ、2014-15シーズンはフェデックスカップランキングで4位に入った。今年35歳になるファウラーは、当時20歳代後半で、さらなる活躍が期待され、長期にわたり米ツアーを牽引する選手の一人になると思われていた。
しかし、2019年のフェニックスオープンで優勝して以降、優勝から遠ざかるどころか優勝争いに加わることすらも減り、予選落ちする回数が増えていった。結果、フェデックスカップランキングは2020-21シーズンが134位、2021-22シーズンが133位まで落ち込んだ。‟下降線をたどる”というよりも‟急降下”という言葉が適しているほどの激変だった。
ただ、下がるのが早ければ上がるのも早かった。今季2022-23シーズンは現時点で20戦して予選通過が18回、最近の5戦ではトップ10が4回と抜群の安定感を見せ、フェデックスカップランキングは8位。昨季までの成績の流れと打って変わり、‟急上昇”している。
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■SG:アプローチザグリーン7位
成績が急上昇したのはアイアンのキレが鋭くなったから。グリーンを狙うショットの貢献度を示すSG:アプローチザグリーンが現時点で7位となっている。平均バーディ数が4位。
このままシーズンを終えれば、SG:アプローチザグリーンの順位が過去最高位、平均バーディ数の順位が過去最高位タイとなる。
ショットが進化し、バーディを量産できるようになったのは、以前師事していたスイングコーチ、ブッチ・ハーモン氏と再タッグを組んだ影響が大きいようだ。
ファウラーは以前、タイガー・ウッズを筆頭にダスティン・ジョンソンやアダム・スコットといった選手たちのコーチをつとめていたハーモン氏に師事していた。一度離れていたが、22年後半から再び師事することになった。
ハーモン氏と再タッグを組み、ショットのデータが向上したが、もともとファウラーはパットを武器にスコアを作っていた選手。ショットのキレが増している中で、以前のパットの状態を取り戻せれば、ファウラー史上最高の活躍を見せることができるだろう。
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■これから黄金期か
昨年のスコットランドオープンは最終的には47位に終わったが、2日目終了時点では8位タイと上位で戦った。現在ほど調子が良くなかった中でのこの結果は好材料だ。
スコットランドオープン翌週に開催される全英オープンの会場はロイヤルリバプールゴルフクラブ。ファウラーは同会場で開催された2014年の全英オープンでは2位タイに入っている。調子だけでなくコースに対するイメージも良いだろう。
メジャー無冠のファウラーは、最もメジャーのタイトルを欲している選手の一人。自身のプレーに手ごたえを感じている今、20日からの全英オープンに向けモチベーション高く、スコットランドオープンでも勝ちにくるはずだ。
ファウラーは終わっていなかった。これからが黄金期となりそうな雰囲気すら漂っている。
英国での大会で最終日におなじみのオレンジのウェアが輝くのか、注目したい。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。
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