障害者スポーツの実態とは?プロ車いすランナーが語る…スポーツ・オブ・ハート記者会見 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

障害者スポーツの実態とは?プロ車いすランナーが語る…スポーツ・オブ・ハート記者会見

オピニオン ボイス
スポーツ・オブ・ハート2015記者会見
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スポーツ・オブ・ハートは6月17日、「スポーツ・オブ・ハート2015記者会見」を東京都内で行った。

10月17日~10月18日に開催される「スポーツ・オブ・ハート2015」。同イベントは、パラリンピアンの呼びかけにより2012年に第1回のイベントを開催。"すべての人たちが幸せに暮らせるニッポン"を目指すプロジェクトとして発足した。

スポーツ・オブ・ハート理事長でプロ車いすランナーの廣道純さんが、記者からの質問に答えた。

---:障害者スポーツの認知度を上げる活動を進めていく上で、認知度はどう変化している?

「障害者がリハビリをしている」程度の認識しかなかったものが、24年競技生活を続けてきていく中で現在はプロとして独立できるような状態となってきたので、環境としてはすごくよくなったと思います。ただ、世界、特に欧州では「アスリート」としての待遇を受けることができる一方、日本ではいち「障害者」としての待遇を受けるという状況にいまだあります。

日本の障害者スポーツへの理解度は、例えば日本人選手が勝ち残れなかった状態でのパラリンピックの決勝、つまり「他国の選手同士が争う決勝戦に、日本人はお金を払うのか?」というところに結論がある気がします。僕はまだ多くの人が払わないと思うんですね。ここを改善していかなければいけないと思います。

障害者スポーツが「特別」って思われているうちはダメなんです。障害のある人でも工夫することで健常者ができていることができるようになるし、そうでなくても周りの人にサポートしてもらうことでできるようになる。

障害者スポーツが「特別なイベント」になってしまうと足を踏み入れようとする人が減ってしまうと思うんですね。どこに行っても、健常者のスポーツを見たら同時に障害者スポーツも見ることができるような環境になることが理想です。

「リバースオブエデュケーション」と言って、パラリンピックはオリンピックと逆の現象が起きるとも言われています。例えば、大人たちが経験していない、障害者スポーツを子どもたちが経験し、それを家族に伝えることで、じゃあ今度は一緒に試合を見に行ってみよう、といった結果になることなど。

また、「障害者の人も普通の人なんだよ」という認識が広がったとしても、「そうは言ってもあの人たちはかわいそうなんだ、寄付してあげなきゃいけない」という大人の価値観もいまだあったりします。でも、若い子どもたちが障害者の子たちと自然に遊ぶことで、同情することなく、障害のある子を「普通の仲間」として認識し、「できないところだけ助ければいい」という思いを抱くことで、その価値観が親の世代にも広がっていくというような現象が起こりうるのです。

---:東京オリンピック・パラリンピック以降の展望は?

オリンピックは通過点にすぎず、「東京オリンピックまでにどれだけ変わるか」というところを見ています。そのために、スポーツ・オブ・ハートが少しでも貢献できたらいいな、と思っているのです。オリンピックが終わっても、このイベントは続けていきたいと感じています。

車いすスポーツに出会ってから生き方が変わったひとりとして、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っています。僕はバイクの事故で健常者から障害者になったのですが、一般の人もいつどこで障害を負うことになるかわからないわけです。

もし障害者になったとき、素晴らしい障害者スポーツがあるという知識がある状態で障害者になるのと、そういった知識がまったくない状況で障害者になるのではまったく違ってくるわけです。だから、僕は障害者、健常者問わず多くの人にこの世界のことを知っていただきたいという思いもあったりします。
《大日方航》

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