MTBワールドカップ南ア大会を山本和弘がレポート | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

MTBワールドカップ南ア大会を山本和弘がレポート

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 ロンドン五輪の国別出場枠がかかるMTBワールドカップシリーズのクロスカントリーは、3月17日に南アフリカのピーターマリッツバーグで第1戦が行われ、山本和弘(キャノンデール)が80位になった。以下は本人によるレポート。

 今年1戦目となるワールドカップに参戦してきた。結果は80位。2年目の挑戦でやっとワールドカップのレースを完走することができた。これは自分にとってとてもうれしく、今後の勇気になる結果となった。ただ、獲得が必要なUCIポイントは3ポイントしか加算できなく、今後のUCIレースでもっと獲得できるように気を引き締めて活動していきたいと思う。
 レースのレポートを記していく。先週も同じコースでUCIレースが行われたのだが、途中で大きな転倒をしてしまい中途半端な状態でレースを終えたので、その後は気持ちがスッキリしない日が続いた。
 でも、そんな中でワールドカップのコースの乗り込みをしてコースに負けないように毎日走り込んだ。そのおかげでコースに対してとてもいいイメージを持った状態でレースを迎えることができた。
 そんなレース当日。午前中女子のレースが開催されていたのだが、暑いくらいの快晴で、男子のレースも暑い中でのレースが予想された。しかし、スタート時間が近づくにつれてどんどん雲が広がり、一気にあたりは暗くなってきた。雨が降らなければOKなので、涼しい中ウォーミングアップをしていった。筋肉、心臓、気持ちの状態がいいのを感じていた。
 レースのスタートはイメージ通り走ることができた。その後、すぐにレース渋滞がはじまり、もみくちゃになりながらバイクを壊さないように選手の波に流れ込んでいった。これも去年経験しているので落ち着いてやり過ごすことができた。その後、長いシングルトラック(1人しか通れない道)が続くため息を整えながらコースが広くなるのを待った。広くなった瞬間にアタック合戦が始まりなかなか思うように前に行けない。それでも、隙をついて1人ずつ抜いていく。アップダウンでは今年から乗りだした29インチバイクの慣性を活かしてスピードを殺さないで走ることができた。
 2周目3周目は1列になった集団に食らいつくのに必死だった。心臓がレースでしか感じられない負荷で動いているのがわかった。酸素が頭にいかないのも何度も感じた。その度に大きな深呼吸をした。
 3周目の後半から自分のリミッターが切れていくのが分かって、登りのダンシングに力がみなぎってくるのがわかった。ここからは前の選手に追い付いて抜いていくのを繰り返していった。コース脇では一緒に宿に滞在しているダウンヒル組が応援してくれてとても力になった。
 5周目。身体はパワーにあふれていたが、筋肉が攣り気味で、ダンシングの度に足が固まるのを感じた。「今日は追い込めてる」って言いながら29インチバイクを進めていった。テクニカルな下りや、大きな段差のある丸太越えでは29インチバイクの優位性を活かした走りをすることができた。
 いい走りをするとコース脇の観衆が盛り上げてくれた。そして、ラストラップを鐘の音を聞きながら最終ラップへ。興奮したね。
 最終ラップ。タイヤのトラクションが抜けないように追い込み、下りでミスをしないように慎重に走っていった。そうしていると、急にどしゃ降りの雨がコースを濡らしていった。ドライから完全マッドへ。一瞬だった。一瞬すぎて身体も目も対応できずにバイクが暴れるのがわかった。名物のロックセクションでは信じられないくらいに滑り、そのセクションはすべてバイクを押してクリアしていった。その後もシューズのスパイクを刺しながらでないと走れないような箇所が多数で、最後はドロドロになってゴールした。
 やっとワールドカップのレースを最後まで走れた。これを次につなげてUCIポイント獲得に向けて全力で活動していきたいと思う。今日は気持ちがいい。これからも応援よろしくお願いします。
《編集部》

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