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ジェイミスといえばクロモリ。シンプルで美しい細身のシルエット。今回試乗するのは、レイノルズ・631という定評あるクロモリパイプで組まれ、クラシックでノーブルなカラーリングを纏うスチールバイク。そんなジェイミス・クエストで、ライター安井は休日の海へ…
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
イギリスのレイノルズ社が製造するクロモリパイプ 「631」 は、軽さ・しなやかさ・耐久性のバランスに優れたスチール素材。その631を使用したメインフレームに、熱処理された細身のクロモリステーとカーボンフォークを組み合わせたクロモリロードが、ジェイミス・クエストだ。
ロードバイクとクロスバイク、ツーリングバイクの中間に位置付けしたくなるような、時代に流されることのないスタンダードなシルエットを持つこのバイクは、2008年からスローピングジオメトリが採用されることとなる。最近は見ることが少なくなった極細のパイプが、フルアルミ全盛時代にロードを始めた僕にとっては新鮮だ。パーツはシマノ・105とアルテグラのミックスコンポにFSAのコンパクトクランク、ホイールにはMAVIC・アクシウムというバランスのとれたアッセンブルとなっている。
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JAMISのカタログ写真では、またしても薄っぺらくどこにでもあるようなフツーのカラーリングにしか見えないのだが、実際のブルーには深みがあり、太陽の下で見るホワイトには風情がある。シャープさや派手さはないが、決して野暮でもない。胴抜きのカラーリングがレトロで、ウールジャージが似合いそうな、ジェイミス・クエストである。ただ、完成車に付属する真っ黒のタイヤがバイク全体を重々しく見せてしまっている点が残念だ。このレトロなカラーリングにスキンサイドのタイヤを組み合わせたらいい雰囲気が出るだろう。
しかし試乗車を組み立てながら僕は、ちょっとばかりうんざりしていた。ロードバイクというよりは、見るからにクロスバイクの延長という雰囲気だし、シートチューブとリアホイールの間延びした間隔からは機敏な運動性など想像しようもない。事実、チェーンステーは415mmと少し長めである。せっかくの細身クロモリフレームなのにスローピングというのも個人的には気に入らない。
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低いテンションのまま走り出してみるが、中身も見た目に違わず、加速や登坂性は軽快とは言えない。速度変化はゆったりまったり。ヒルクライムでも軽さはない。
しかし。ダンシングで踏み込むと粘りに粘るが、フレームの前半と後半がバラバラに変形したり、ぐにゃりと腰砕けにならない点はさすが 「クロモリのジェイミス」 である。さすがは 「名チューブ・レイノルズ631」 である。ヒルクライムで踏み込んでも、フィーリングこそ重いもののしっかりとパワーは伝わるし、シッティングでグイグイと踏んでも思った以上の高速を維持できる。ピュアで嫌味がなく、上品とも言える走行感に闘争心が掻き立てられることは決してないが、リズミカルなペダリングとシルキーなフィーリングに初めて訪れる目的地への憧憬が重なり、知らぬ間に走るのが楽しくなってきてしまうのは確かだ。
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