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カタール一周を戦ったEQAの浅田監督に確かな手応え

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 ツール・ド・フランスを運営するASO(アモリー・スポーツ・オーガニゼーション)が主催するツアー・オブ・カタールに参戦したEQA・梅丹本舗の浅田顕監督が、大会を終えてコメントを発表した。ツール・ド・フランス出場を目指して戦う同チームにとって、「砂漠のツール
  •  ツール・ド・フランスを運営するASO(アモリー・スポーツ・オーガニゼーション)が主催するツアー・オブ・カタールに参戦したEQA・梅丹本舗の浅田顕監督が、大会を終えてコメントを発表した。ツール・ド・フランス出場を目指して戦う同チームにとって、「砂漠のツール
 ツール・ド・フランスを運営するASO(アモリー・スポーツ・オーガニゼーション)が主催するツアー・オブ・カタールに参戦したEQA・梅丹本舗の浅田顕監督が、大会を終えてコメントを発表した。ツール・ド・フランス出場を目指して戦う同チームにとって、「砂漠のツール・ド・フランス」とも呼ばれるレースはどんな収穫があったのか。以下は浅田監督のコメント。

 今回のツアー・オブ・カタール参加に至ったのは、主催者であるASOが我がチームの欧州での活躍に着目したのがきっかけとなり、08年8月の時点で早々に参加の打診がありました。ツール・ド・フランス出場チームが集結するため強い欧州色を持つレースですが、カタール開催ということではUCIアジアツアーに属するこの大会。アジア最強チームの参加が待たれる中、今回の招待につながりました。

 08年12月に来日したASOディレクターのクリスチャン・プリュドム氏からも期待のメッセージをいただくなど、シーズン初戦としては少々プレッシャーのかかるレースとなりました。

 新城幸也、宮澤崇史の主戦力を手放したため、新シーズンは欧州と韓国の外国新戦力を迎えての新体制で開幕準備に取りかかりました。今回は平地のコースということもあり、スプリンターの朴晟伯や好調のエース清水都貴の活躍、また、今年チームの中心となり指揮をとる水谷監督の元スプリンターとしての経験と采配にも大きな期待を寄せてスタートを切ることになりました。

 ツアー・オブ・カタール の厳しさは、以前からテレビ放映などで知っていましたが、本当の厳しさは実際に参加した今回、身をもって知らされることになりました。

 レースを思い返せば、連日の強風のなか、フラットで直線的なコース上、方向転換と風向予知の連続で、集団走行に不利な風向き、すなわち「横風」での集団内の激しい位置取りという、それはまさに格闘技でした。「横風」区間では集団前方に位置取りができなければどんどん後退して順位を下げてしまうため、各チーム必死で風除けができる場所を奪い合います。必要なのは人の後ろに入るというより、人の前に入るという感覚。しかし主導権を握る「横風レースのスペシャリスト」であるオランダ、ベルギーなどのプロツアーチームの巨人がひしめく中、アジア最強の我々といえども小柄で格下と判断され、居場所を作ることが認められずに弾かれてしまい、非常に苦しい毎日でした。

 連日の結果としては、好成績とチームとして周囲にいい印象が残せず残念です。新体制でそれなりの準備をしてきたつもりでしたが、他チームの今大会へ挑む意気込みと準備状態は我々の予測をはるかに超えており、ここで対等に戦うには集団内での政治的実力も含めると、彼ら以上にコンディションを上げて臨まないと歯が立たないと感じました。
 ただ、大所帯のプロツアーチームと比べ、少数精鋭で戦うチームである我々にとっては、このレースにピークを持ってくることは簡単ではなく、コンディショニングやスケジューリングに関して今後の検討材料となります。

 しかしチームメンバーのがんばりは、始まったばかりのシーズンにとって悪いことだけではでしたありません。今回は6日間にわたり苦戦したレースではありましたが、連日各選手が一人ひとり課題に取り組み、少しずつ難関を克服しつつコンディションと順位を上げていきながら、新体制のチームワークを高めることができたことはういしい収穫と言えます。
 そして強風がおさまった最終日には、チームとして勝負に加わるべく集団ペースアップへ積極的に参加するなど、一部では存在をアピールすることができました。また、初日から心労と戦いながら毎ステージ選手たちを勇気付けた監督の水谷も「できる」という感触を表情に浮かべて最終日を迎えました。

 今後チームは例年どおり7~8月にピークを持っていきたいと考えていますが、今年は清水都貴をはじめ、エース級の外国人選手も新たに加わり、シーズン前半から勝機をうかがいながら常時入賞を目指します。今回の苦戦経験もぜひプラス方向に活かし、本格的シーズンに向けコンディションを上げていきたいと思います。

 このツアー・オブ・カタールに関しては、来年も招待が得られるのなら、迷うことなく「ウイ!」と答えます。なぜなら、時期やコース的な課題はあるものの、我々が参加できた過去最高レベルといえる質の高いレースでしたので。そして何よりも来年、集団の巨人たちがどのように我々を受け入れるかが楽しみですからね。
《編集部》

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