【アーカイブ2009年】BH G4、300kmを経てやっと気のおけない仲になれた…安井行生の徹底インプレ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【アーカイブ2009年】BH G4、300kmを経てやっと気のおけない仲になれた…安井行生の徹底インプレ

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【アーカイブ2009年】BH G4、300kmを経てやっと気のおけない仲になれた…安井行生の徹底インプレ
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安井行生のロードバイク徹底インプレッション




アージェードゥーゼル御用達の軽量バイク



100年の歴史を持つスペインの老舗ブランド、BHが誇るフラッグシップモデルG4。いまやフレーム価格70万円を超えることも珍しくないハイエンドバイク市場にあって、プロユースモデルながら半額以下のプライスタグを付けるそれは、彼らと対等に渡りあえるのか。2週間と400kmを共にした安井は、G4のしなやかな肢体から何を感じたか。



(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)



ナノテクノロジーを駆使して (僕はロードフレーム素材におけるナノテクノロジーとは一体何なのか、そして本当に効果があるのかが未だによく解っていないのだが)、ISP部分を含めても880g (カタログ値) という驚愕のフレーム重量を実現するG4は、元々は銃器メーカーだったというスペインの老舗、BHの最新作である。



まず目がいくのは、刃のように薄い翼断面シートチューブ。その一方は上に伸ばされてスマートなインテグラルシートポストを形成し、一方はホイールに沿って深くえぐられ、G4にTTバイクのような緊張した雰囲気を与える。その他にも、四角~菱形~円形と断面形状を段々と変化させるトップチューブ、凹(!)断面のダウンチューブ、潔いほどストレートなフロントフォーク、シフトワイヤーのチェーンステー内蔵加工など、個性溢れる数々のディティールを持つ。



プロチーム、アージェードゥーゼル・ラモンディアルの選手達も駆るこのモデルは、プロユースフレームとして最軽量、そして (日本市場においては) 最安の部類に入る。



この原稿を書いているこの今も、僕の部屋でパリ~ニースを放送するテレビはブルーのジャージを着た選手がG4を駆ってラ・モンターニュ・ド・リュールだかポルト峠だかを軽々と駆け上る映像を映し出しており (ツアー・オブ・カリフォルニアでステージ優勝を飾ったリナルド・ノチェンティーニが総合16位の健闘を見せた)、そして今日から2週間ほど僕のものとなる約束の、テレビでニースに向けて疾走しているのと同じバイクが、すぐ隣で壁にもたれ掛かっているのだ。それにアッセンブルされているのは、使ってみたくてうずうずしていた新型コーラス、11スピード。そして大好きなホイールの一つであるカンパニョーロ・ニュートロン。いやでも個人的期待は高まる。さっそく瀟洒な身なりのG4に僕の小さく不格好なハンドルとステムを取り付けて、2週間を共に過ごした。







スペック







上質な軽やかさでライダーをふわりと送り出す







想像するよりずっと加速は大人しいものだった。初速変化にキレは少なく、俊足スタートを楽しむためにはハンガー部分の反発がペダリングのリズムにシンクロし始めるまで待つ必要がある。といっても、(矛盾を承知で言えば) そこに重ったるい印象は少ない。クランク3回転めくらいから突然走行抵抗が少なくなったかのようにシュワッと伸びるのは、フレームにしなりが溜まるまでにタイムラグがあるからだろう。中速域からのゴムに弾かれるような二次曲線的なスピードの伸びには、胸がすくような気持ちよさがある。



クリーミーな漕ぎ出しは人にとってはデメリットとなるものだろうが、そんな一瞬の欠点を小姑のように嫌らしく突つくよりも、フレームのどこにも突っ張るところや引っ掛かるところがなく、軽いペダリングパワーを与えただけでふわりと加速を始める、その瞬間々々の滑らかな感触の素晴らしさに気付くべきだ。落ち着きを伴った、上質な軽やかさだ。



G4は、入力点 (ペダルやハンドル) と 出力点 (タイヤとアスファルトとのコンタクト・ポイント) との間を剛体で直結してしまうのではなく、かといってギクシャクとしたジョイントを介しもせず、途切れることのない一本のしなやかな筋肉で繋いだ、というそんなイメージでライダーを送り出す。それは一朝一夕で実現できる性能ではないような気がする。今年で創立100周年を迎えるというBHの、歴史の積み重ねが成せる技だろうか。言葉にすると地味だが、賞賛に値する味付けだと思う。







だが、G4が僕に与えた (ロードレーサーとしての) ファーストインプレッションは総じてネガティブなものだった、ということは正直に告白しなければならない。G4が一時的に僕のものになって一日目、峠2つを含む、距離にして150kmと少しをG4と共にした僕はその時、 「少し柔らかく、決して悪くはないが、かといってどうということもない」 バイクだと思い、期待とのギャップに落胆を覚えもした。特にヒルクライムでは、ニュートロンがついてこれか、とまで。その頃にはまだバイクとの意思疎通がパーフェクトではなかっただけだった、ということが後になって分かるのだが。



それから数日を経て、再び同じルートで乗った。その日の行程が終わりに近づいた夕方になると、僕はコイツと一緒にまだまだ走り続けたい、と思うようになっていた。少し考えた結果、その理由を、フレームとの会話が成立し、その鼓動を聴くことができ、このしなやかな時間の推移と共にバイク~ライダー間の浸透率が上がったからだ、としたい。300kmほどを経て、僕らはやっと気のおけない仲になれたのだった。



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