【全米オープン】開幕へ、大坂なおみら日本勢の躍進に期待 セリーナは引退への花道を飾るか | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【全米オープン】開幕へ、大坂なおみら日本勢の躍進に期待 セリーナは引退への花道を飾るか

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【全米オープン】開幕へ、大坂なおみら日本勢の躍進に期待 セリーナは引退への花道を飾るか
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ニューヨークの晩夏のビッグイベント、全米オープンが29日から開幕する。

日本からは2018年と2020年大会の覇者である大坂なおみを筆頭に、シティ・オープン(ATP500)で準優勝した西岡良仁、そして8月に約3年3カ月ぶりにトップ100へ戻ってきたダニエル太郎が上位を目指し本戦から登場する。

◆【シティ・オープン】西岡良仁、世界最高峰への道を切り開き準優勝

■年間グランドスラムを狙う国枝慎吾にも注目

ダブルスには全仏ミックス優勝を果たした柴原瑛菜、世界11位の青山修子が出場予定。全サーフェス(ハード、クレー、芝)で今季4勝を獲得した二宮真琴と穂積絵莉の日本ペアにも期待がかかる。そしてカナダで男女共同開催されたオドラム・ブラウン・バン・オープン(ATPチャレンジャー/WTA125)では、マクラクラン勉と加藤未唯がアベック優勝を果たし今大会へ弾みをつけた。マクラクランはシカゴ・チャレンジャーに続き2週連続で優勝。ダブルスではグランドスラムでベスト4以上を経験している選手が多いため、全仏の柴原に続き頂点に輝く姿を期待したい。

予選には6月から大きくランキングを上げた内田海智がグランドスラム4度目の挑戦で嬉しい初勝利をあげた。2回戦では106位のファクンド・バグニス(アルゼンチン)と激突。6月のポルトガル・チャレンジャーでは内田が勝利していたが、今回はバグニスに軍配が上がり、2回戦突破とはならなかった。

女子ではネクスト・ジェネレーションと期待されている21歳の内島萌夏と、12大会ぶりに予選から出場となった土居美咲、そして日比野菜緒が予選決勝に進出。それぞれ熱戦を制して本戦に王手をかけたが、残念ながら3名とも敗戦し本戦への切符を手にすることはできなかった。今季ウィンブルドンで2回戦へ進出した本玉真唯は予選2回戦、そして内島と同世代の内藤祐希は1回戦で敗退となった。

車いすテニスはドロー数を16名に拡大したことから日本勢は9名の選手が出場する。男子では年間グランドスラムを狙う国枝慎吾に続き、16歳の小田凱人と今季ITFツアーで3勝を挙げた三木拓也が参戦。女子は世界2位の上地結衣大谷桃子が虎視眈々と女王の座を狙い、田中愛美、高室冴綺、船水梓緒里の3名は初のグランドスラム出場権を獲得した。クァードクラスには東京五輪ダブルス銅メダリストであり世界8位の菅野浩二が出場する。

■大坂はサービスゲームが鍵

男女シングルスの第1シードは昨年覇者のダニール・メドベージェフ(ロシア)とイガ・シフィオンテク(ポーランド)だ。日本のエース大坂は現在44位に位置し、ノーシードでスタートする。3月のマイアミでの準優勝以降、2回戦までに敗退している大坂だがテニスに大きな問題があるわけではないだろう。それよりも今季は確実にコントロールショットが増え、フォアハンドで丁寧にオープンコートをメイクしている。何よりテニスで重要な「リスクを減らしながらポイントを量産する」という術を丁寧に実行し、幅を広げているように見える。最近は序盤でブレークされ接戦を取り逃すシーンも多いがゆえ、入り出しのサービスゲームの成功が自信をもってリズムを作るための要因となるだろう。

1回戦は今年の全豪で準優勝したダニエル・コリンズ(アメリカ)と対戦する。ベースライン上でのパワーバトルを好み、熱い感情を前面に押し出せる選手だ。マイアミ・オープン準決勝では大坂が勝利しているが、自国のビッグイベントではファンの後押しも強いはず。元々、勝利への空気づくり上手い選手がゆえ、いかにしてコート制圧できるかメンタルバトルにも注目が集まる。

そして今季トップ30を5人倒す成果を出し存在を強めているのが、日本男子のエース西岡良仁だ。何よりずば抜けたタッチセンスとフィジカルの強さ、そして空間認知力の高さが光る西岡ワールドに多くのテニスファンが虜になる。1回戦は39位のアレハンドロ・ダビドビッチ・フォキナ(スペイン)と初対戦。どのような作戦で勝利を目指すか、西岡の頭脳戦を注視したい。

またグランドスラム23勝を誇るセリーナ・ウィリアムズにとって、今大会がテニス人生のラストダンス。彼女のドラマはどのように幕を閉じるか、そして今シーズン最後のグランドスラムを締めくくるのは誰なのか。目が離せない2週間となりそうだ。

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著者プロフィール

久見香奈恵●元プロ・テニス・プレーヤー、日本テニス協会 広報委員

1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動に尽力。22年よりアメリカ在住、国外から世界のテニス動向を届ける。

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