【小さな山旅】御幸ヶ原で昼食を…茨城県・筑波山(4) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】御幸ヶ原で昼食を…茨城県・筑波山(4)

オピニオン コラム

男体山と女体山の間に位置する御幸ヶ原。展望台の向こうには男体山が見える
  • 男体山と女体山の間に位置する御幸ヶ原。展望台の向こうには男体山が見える
  • 地元の食材を活かしたつくばうどん
  • コマ展望台の中でも食事ができる
貴方がもし、筑波山に登ったならば、昼食は御幸ヶ原(みゆきがはら)で食べていただきたい。なぜならば、御幸ヶ原では、他にはないドラマチックなランチが食べられる…に違いないからだ。

御幸ヶ原とは、筑波山の男体山と女体山の狭間にある、鞍部と呼ばれる場所のことだ。そこは山の上にあれど、平地のようになっており、いろいろなお店や施設が並んでいる。

ケーブルカーの山頂駅、コマ展望台、そして、茶屋。これらのお店や施設では、お土産が買え、食事もできる。茶屋は御幸ヶ原に5軒(たがみ、みゆき、めをと、たかはしや、仲の茶屋)あり、男体山近くに見浦亭と幸雲亭、女体山側には、せきれい茶屋がある。

コマ展望台の中でも食事ができる

その中のとある茶屋で、筆者は「つくばうどん」という、地元の食材をふんだんに使用したうどんを食べた。登ったのが風が強く吹く、とても寒い日であったので、温かいうどんは心身ともにほかほかにしてくれた。

茶屋には他にも登山客がたくさん来ていた。隣の客は、男性の二人組。会社の同僚なのか、ビールを片手に仕事の話で盛り上がっていた。後方には、団体客がずらり。そのうちの一人が、屋久島に行った時のことを話している。窓から見える日光男体山を指さして、「あの山は日光男体山。先ほど登ったのは筑波山の男体山です」と話す人もいたり…。団体客のガイドさんだろうか。皆、楽しそうに昼食の時間を過ごしていた。

一方、筆者は一人でうどんの汁をすすりながら、彼らの会話に耳を傾ける。そして、その会話から、いろいろな疑問を抱く。それは、この人はなまりがないから他県の人だろうか、会社では偉い人なのだろうか、屋久島ではどの山に登ったのだろうか、といった素朴な疑問に始まり、次第に、会社員の人の年収は?ガイドさんの報酬は?という文字通り現金な疑問に発展していく。

地元の食材を活かしたつくばうどん

疑問はやがて妄想を膨らませる。会社員の二人は先輩と後輩で、後輩は先輩の誘いで嫌々山に来ているとか、ガイドさんのツアー参加者は、実は大富豪ばかりの秘密結社のメンバーだとか。

そうして、うどんの汁をすすり終わる頃には、お腹も頭の中も満たされて、心身がリフレッシュされるのだ…というのは、あくまで筆者に限った御幸ヶ原での昼食の楽しみ方である。

それはさておき。山の上で、街中のように食事をするのは、なんともオツなものである。決してオシャレではない、雑多な印象の店内だが、それが逆によい雰囲気を醸し出している。

店内に置いてあるお土産品も、ガマガエルの置物など変わったものばかりで面白い。店員さんもチャキチャキとしていて、客に媚びる様子がなく、気さくでいて粋な感じが心地よい。

山と山の間にある御幸ヶ原での昼食は、山と街の間に来たような、不思議な感覚を味あわせてくれる。そう、御幸ヶ原は山であって、山でない。かといって、街かと問われれば、そうではない。この感覚は、おそらく御幸ヶ原でしか味わえない。

だからこそ、筑波山に来たならば、御幸ヶ原で昼食を。そこでは、ティファニーで朝食を食べるよりも、夢のようなひとときが待っている…に違いない。
《久米成佳》

編集部おすすめの記事

page top