オーストラリア、ストリートアーティストが作品に込める想い | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

オーストラリア、ストリートアーティストが作品に込める想い

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市内中心部にはSALAの文字が
  • 市内中心部にはSALAの文字が
  • SALA street art
  • ストリートアートマップ、市内には100か所以上のストリートアートが隠れています
  • SALA street art
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オーストラリアの南オーストラリア州で毎年8月の1カ月間に渡り開催されているSALA(South Australia Living Artist)フェスティバルは、プロ・アマチュア問わず作品発表の場として根付いてきました。

街のあちこちで見かけるSALAのステッカーは、アーティストの発表の場であることも意味するのです。そのなかでもギャラリーではなく、街の建物を利用したアーティストの作品「ストリートアート」がこの数年で州都アデレードでお目見えしました。アーティストがこのストリートアートに込める想いとは何なのでしょうか。

●ストリートアートに注目
昨年から私も写真の部で参加するようになったのですが、今年は視点を少し変え、見る立場でも積極的に参加しようと思いました。参加アーティストはグループも含めると約600団体。プログラムもかなり多く、すべてを1カ月間で観るには無理があります。

そこで注目したのは、最近話題になっているストリートアート。SALA開催中はボランティアのガイド付きで観て回るアートツアーが人気です。そのなかでもストリートアートツアー、街に隠されたアートをガイド付きで探し出すツアーに参加しました。アデレードのストリートには秘密がたくさん隠されているようです。


SALAのストリートアート

●古い建物に息を吹き込むアーティストたち
アデレード市内では都市開発が進み、古い建物の取り壊しが進められています。市内には大きな公立病院の改築や、高いマンションが目立つようになりました。そこにストリートアーティストたちは目を向けました。古い建物の壁一面に息を吹き込んだです。市内を中心とした大きな壁に自分たちのキャンバスを作ったのです。

●行政のサポートが大きい
州都を大きくしようとする州政府。南オーストラリアでは、これらストリートアーティストのサポートも州の取り組みのひとつと言えるでしょう。古い建物をすべて取り壊すわけではなく、一部の建物は存続させながら壁をアーティストに提供することは、すべてを新しいものにするのではなく古いものをリサイクルするという姿勢にあるのです。公共の場を一般アーティストに貸す行政の取り組みは、アーティストに自分たちの街を素晴らしいものにする気持ちを向上させることにもつながっているようです。

●想いを受け継ぐ
この街のストリートアートは、アーティストの発表の場だけには留まりません。アーティストの想いや、その時代の風景などを後世に語り継ぐ意味を含む作品も多くあります。ある場所にはアーティストとして活躍した人をアニメ風にペイントしたベンチや、難民として入国してきた人々の故郷を想うウォールアートだったり。そこには描いた人の想いやその当時の時代背景を伝えようとする気持ちが多くあります。

●ストリートアートツアーはアーティストとの出会いの場
このツアーではいくつかのポイントでアーティストたちに出会えるのが面白いところ。いつも何気に観ていたウォールアートですが、実際にアーティストに会ってみると彼らとの距離感が縮まり、そのアートを見る目が変わります。またアーティストの気持ちを知ることでその絵に込められた意味もさらに深く知ることができます。


SALAのストリートアート

●彼らが壁にアートを描く想いは
「これだけ大きなキャンバスに好きなだけ描けるのは願ってもないこと。また壁を使うことは描くための資材をそろえなくてもよいメリットもある」

そう語るのは、ストリートアーティストで市内にギャラリーを持つトム・ブキャナンさん。彼は大きなキャンバスに市内の様子を独自の視点で描いています。これらの作品は買うことができませんが、彼らアーティストたちに取ってお金を作るためのものではなく、多くの人の目に留まることが目的だと言えます。

歩いているときに、ふと立ち止まらせてしまうストリートアート。どんな想いで、どんなことを伝えたいのか。これは私たち写真家と目指すものは同じだと思いながらのツアーでした。奥深いストリートアートへの旅はまだまだ続きます。

《Asami SAKURA from Adelaide, SA》

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