初めて体験したACLを含めれば、公式戦出場はすでに20を数えている。しかも、決して順風満帆ではなかった軌跡が、自らを成長させたと橋本は実感している。
■成長しながら戦ってこられた
「リーグ戦で出られなくなった時期もありましたし、そうしたなかで直後のACLで出場機会をつかんだことで自分なりにいい手応えを得たし、アウェーでいい経験を積むこともできた。本当に少しずつですけど、成長しながらファーストステージを戦ってこられたと思っています。
ただ、チームとして結果を残せなかったことは本当に悔しいですし、自分の力で勝利に貢献したかったという思いもある。ファーストステージはまだ1試合残っているし、すぐにセカンドステージも始まるので、もっともっと成長のスピードをあげて、チームの力になれる選手になりたい」
調子が下降線をたどっていた時期だったのだろう。4月24日のヴァンフォーレ甲府戦、5日後のアビスパ福岡戦で、橋本はリザーブのまま試合終了のホイッスルを聞いている。
それでも下を向かなかったからこそ、敵地で5月4日に行われたベカメックス・ビンズオン(ベトナム)とのACLグループリーグ最終戦でターニングポイントをつかみ取ることができた。

橋本拳人 参考画像
■ユーティリティー性が評価
食い下がるビンズオンを2-1で振り切り、グループリーグ突破を決めた大一番で、橋本は右サイドバックとして躍動する。アウェーゴールの差で苦杯をなめたものの、上海上港(中国)との決勝トーナメント1回戦でもホーム、アウェーともに右サイドバックで先発フル出場している。
もっとも、リーグにはミッドフィールダーとして登録されている。ボランチを主戦場としながら、冒頭のレッズ戦では右MFとして先発。後半22分からは、ベテランの徳永に代わって右サイドバックへ回った。
2013シーズン途中から期限付き移籍したJ2のロアッソ熊本では181cm、74kgのサイズを見込まれて、3バックへのシステム変更に伴ってセンターバックでも起用されている。
そして、異なる4つのポジションをしっかりと務められる、いわゆるユーティリティーぶりに目をつけたのが、U-23日本代表を率いる手倉森誠監督だった。
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