【澤田裕のさいくるくるりん】交通事故・調査分析研究発表会…自転車利用者の参考に | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【澤田裕のさいくるくるりん】交通事故・調査分析研究発表会…自転車利用者の参考に

オピニオン コラム
上の3つが「イタルダインフォメーション」で、下が「第18回交通事故・調査分析研究発表会」の資料。いずれもウェブサイトからダウンロード可
  • 上の3つが「イタルダインフォメーション」で、下が「第18回交通事故・調査分析研究発表会」の資料。いずれもウェブサイトからダウンロード可
先日、イタルダが主催する研究発表会に参加しました。平日の昼間にもかかわらず、300人強を収容する会場は満員…とその前にイタルダの説明が必要ですね。

イタルダとは公益財団法人交通事故総合分析センターの略称で、英語表記の「Institute for Traffic Accident Research and Data Analysis」から採られています。日々発生する交通事故を、人・移動手段・道路環境といったさまざまな要因から分析し、その数の減少や程度の軽減を図る方策を研究する機関で、道路交通法に基く指定も受けています。

公的な機関ゆえ統計資料(交通統計や交通事故統計年報など)をはじめ、分析・研究した結果(研究報告書)の多くは無料で公開され、誰でも閲覧可能となっています。また、年に6回「イタルダインフォメーション」を発行。こちらもウェブサイトからダウンロードできます。

■減らない自転車関連の事故

近年は交通事故全体が減少傾向にあるなか、自転車が関連する事故はなかなか減らないからでしょうか。「走行中自転車への追突事故」や「自転車事故 被害軽減にヘルメット」など自転車をテーマにしたものが5年間で5号と、年に1度の割合となっています。

僕が参加した「第18回交通事故・調査分析研究発表会」も、参加費は無料でした。当日の研究発表で自転車に直接触れたものはありませんでしたが、「駐停車中のドア開き事故」や「交通事故リスクアセスメント~生活道路における交通安全対策~」などは、自転車利用者にも大いに参考になるものでした。

たとえば2014年のドア開き事故の総数は2325件。そのうち自転車は67%を占めています。僕自身も駐車中のクルマのドアがいきなり開いてドキッとした経験がありますが、車道左端の走行が義務づけられている自転車は、ドア開き事故に遭遇するリスクが大きいということですね。走行音がほとんど発生せず前面投影面積が小さいという点も、後方から接近する自転車を気づかせにくくしているものと思われます。

■興味深い調査結果

興味深いのは、衝突するドアが左右でほぼ均等というところ。クルマの平均乗車人数は2名に満たないということで、運転席のある右ドアに衝突する事故のほうが多いかと思っていたのですが(左ドアより開け閉めする機会が多いため)、左ドアを開ける際は注意が損なわれがちであることや、左ドアは運転免許証を持たない人が開けることが多いといったこともあって、結果的に左右均等になるのでしょう。

一方、生活道路における交通安全対策の発表では生活道路における年齢別の事故件数が棒グラフで示され、子どもや高齢者が事故に遭いやすいとされました。もちろんそれは事実なのですが、他のグラフでは歩行者と自転車が分けられていたのに、なぜかそのグラフでは一緒にされていました。

そのせいかどうか、発表のまとめとして路側帯を示す白線部分にポールを立てることが生活道路におけるハード対策の一例と紹介されていましたが、これなど自転車がポールに衝突する危険を増やすだけで、なんの対策にもなりません。資料を分析する際には、恣意的にならないよう細心の注意を払ってほしいものです。
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