
今週は、春の中距離王決定戦、第69回大阪杯(GI、芝2000m)が阪神競馬場で行われる。
今年は、昨年の覇者ベラジオオペラをはじめ、桜花賞馬ステレンボッシュに、ジャスティンパレスやソールオリエンスといったGI馬が参戦。加えて、中山記念覇者シックスペンスに、日経新春杯を制したロードデルレイ、京都記念覇者ヨーホーレイクや、ホウオウビスケッツ、エコロヴァルツ、ボルドグフーシュらが、GI初制覇を目指して集結。中距離戦線の頂点に立つのはどの馬か。
そんな中、GII3勝のシックスペンスが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■関東馬が勝てないGIの壁
前走の中山記念では、長期休養明けながら、中団から上がり最速の末脚で差し切りレコード勝ち。GII3勝目をマークして、勇躍GI獲りに臨むシックスペンスは、デビューから6戦5勝、大きく崩れたのはダービーだけで、底知れぬ魅力がある。前走の内容から高速馬場への対応も不問で、好時計決着になりやすい当レースへの適性も高そう。ゆえに、注目を集める存在となるだろうが、マイナス材料は少なくない。
GIに昇格した2017年以降、過去8回の大阪杯で、前走中山記念組は【1.1.2.11】と前哨戦としてはまずまずの成績だが、中山記念勝ち馬に限ると、【0.0.1.2】と、勝ち馬は輩出しておらず、信頼度はいまひとつ。2020年のダノンキングリーは、シックスペンスと同様、毎日王冠、中山記念を制して大阪杯に臨んだが、1番人気で3着に敗れており、シックスペンスも同じような系譜を辿らないか心配だ。
関東馬が大阪杯で相性が悪い点も気になる材料。GIに昇格してからは、【0.2.2.29】の成績で、過去8回すべて関西馬が優勝。GII時代を含めても、最後に関東馬が制したのは、1999年サイレントハンターまで遡ることになる。2019年ブラストワンピース、22年エフフォーリア、24年タスティエーラなど、1番人気に支持された関東馬がコロッと負けるケースは多く、エフフォーリアは関西遠征も初めてだった。シックスペンスも、これまでは関東圏の競馬場でしか出走歴はなく、初めての関西遠征。長距離輸送やコースへの対応など、初物尽くしの点は減点材料だ。
また、主戦のルメールから横山武に替わる点も減点材料。過去8回の大阪杯では、継続騎乗の場合が【7.5.4.40】の成績であるのに対し、乗り替わりの場合は【1.3.4.53】と、信頼度は大きく落ちる。横山武も、最後のGI勝利は2023年皐月賞で、以降、先週の高松宮記念までGI30連敗中。その間、1番人気の騎乗は3回のみで、必ずしも人気馬に騎乗しているわけではないが、GIでの不振は大いに気にかかる。
シックスペンスはGII3勝をマークしているが、距離はすべて芝1800mで、いわゆる非根幹距離。このタイプは1800m専科の可能性があり、距離延長、初めての2000m戦で、本馬の能力を発揮できるかどうか疑問符は付く。加えて、前哨戦との相性の悪さや、関東馬、テン乗りなど、越えなければいけない壁は多く、人気ほどの信頼度は高くないと考え、「頭」勝負は避けるのがベター。場合によっては「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。