【THE INSIDE】「第96回全国高校ラグビー」の振り返り…W杯を控え、次世代ラガーたちの熱気で好試合が相次ぐ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE INSIDE】「第96回全国高校ラグビー」の振り返り…W杯を控え、次世代ラガーたちの熱気で好試合が相次ぐ

オピニオン コラム

明大中野と和歌山工のスクラム
  • 明大中野と和歌山工のスクラム
  • FWが押す御所実(黒)
  • お互いの健闘をたたえ合う茗溪学園と大分舞鶴
  • ゴール前の反則に天を仰ぐ若狭東
  • スクラム体制の九州学院と朝明(青)
  • トライに盛り上がる東京
  • ノーサイド、惜敗に泣き伏す大分舞鶴
  • ハーフタイムでの明大中野のミーティング
強い東福岡(福岡)の2大会ぶり6回目の優勝で幕を閉じた「第96回全国高校ラグビー」。東福岡は、大会前から優勝候補の筆頭と言われており、結果的にはその通りの強さを示した形になった。

しかし、その東福岡が圧倒的だったというと、そうではなかったところでも盛り上がった。連覇を狙った決勝の相手、東海大仰星(大阪第一)や準決勝の相手、御所実(奈良)などが食い下がった。

スタンドには高校生ラガーマンたちの熱戦を見ようと、年末の1回戦、2回戦という序盤から、多くの人が詰めかけていた。

シードの東福岡は初戦となった2回戦の浜松工(静岡)戦で139対0という、大会記録となる大量得点もあった。しかし、全体的にみると、スコアとしては例年以上に競り合いとなった試合が多かったのではないだろうか。

奮闘する和歌山工のディフェンス

1回戦では、12年ぶりに明治大の伝統の紺白ジャージを花園に現した明大中野(東京第二)が、和歌山工(和歌山)に対して27年ぶりの勝利を挙げたことも話題となった。

勝田宗頼監督は、「400人近い応援が来てくれた中でこういう形で勝てて、まずはホッとしました」と安堵していたが、ことに後半の残り15分くらいからは防戦一方となった。それでもトライを与えなかった。

FWもBKも一体となり、とにかく和歌山工の分厚い波状攻撃を防ぎ切った。このあたりのDFの踏ん張りは、紺白のジャージに身を包んだ明治魂の矜持と言ってもいいのではないだろうか。

1回戦で最高の好試合となったのは、茗溪学園(茨城)と大分舞鶴(大分)という共に伝統と実績のある名門校同士の対戦だった。よく対戦していそうな印象だったが、両校の花園での対決は第74回大会(94~95年)の3回戦以来のこととなった。

関係者の多くは、「元日か3日(準々決勝)あたりに当たってもおかしくない試合」と言っていたくらいの好カードである。そして、十分にその期待に応えた内容となった。獲って取られて、取られて獲ってというシーソーゲームの展開となった。

前半17分、お互いに得点が入っていない段階で、茗溪学園は珍しいLO(5)のキッカー岡添裕也君がペナルティゴールを狙い先制となった3点を奪う。結果は20対17の3点差であったことからも、ペナルティゴールを狙ったことは好判断だったとも言える。

ノーサイド、惜敗に泣き伏す大分舞鶴

2回戦では、中部大春日丘(愛知)が仙台育英(宮城)と一進一退の攻防を繰り広げた試合も競り合いだった。前半は春日丘が先制。仙台育英が追いかけ同点トライとゴールで逆転。しかし、27分に春日丘はゴール前のラックでFWがキープし、最後はPR(1)蜂谷元紹君が持ち出し中央にトライして再逆転。ゴールも決めた。

これに対して、仙台育英も後半早々にペナルティゴールで追い上げる。その後、春日丘がトライを2本決めて突き放すが、仙台育英は19分と21分に立て続けにトライを決めるなど追い上げて2点差とする。その後は、お互いが中盤での攻防で守り合いとなり、何とか春日丘が逃げ切るというものだった。

また、2回戦屈指の好カードと言われていた御所実と尾道(広島)の試合は、立ち上がりに尾道が攻めるものの、22mライン内に攻め入られてからの御所実のDFが見事だった。

尾道としても、突破できそうで攻めきれない。御所実が堪えに堪えていたのだが、7分にカウンターアタックでFB(15)岡村晃司君が右タッチ沿いに走り、LW(11)南昂伸君につないで先制。さらに24分にも南君がトライ。後半も、御所実が2本のトライ&ゴールで14点を奪い、結局尾道の攻撃をノートライに抑えた。

DFが堪えながらも、機を見てカウンターという鮮やかな戦い方だった。準決勝で、東福岡に対しても大善戦していたのだが、1点及ばず苦杯をなめた。しかし、今大会の活躍で、改めて御所実のオールブラックスを思わせる黒のジャージの粘り強さは十分に印象づけられた。

いずれにしても、今大会の選手たちの中から、2年後の日本開催の「ラグビーワールドカップ2019」、さらにはその先の日本代表として桜のジャージを身にまとう選手が現れてほしいと思っている。そんな期待を十分に抱かせてくれる熱気と熱戦だった。
《手束仁》

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