日本人陸上選手が外国人選手に勝てない理由…カギを握る「裸足文化」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

日本人陸上選手が外国人選手に勝てない理由…カギを握る「裸足文化」

スポーツ まとめ
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東京・表参道に5月28日よりオープンしたナイキのランニングサービススペース、「NIKE+RUN CLUB OMOTESANDO」。

ランナー一人ひとりへの最適なシューズを選び、ランの分析やアドバイスを受けられる「NIKE 1on1(ナイキ ワン オン ワン)」のひとつ、NRC パーソナル ラン トレーナーを体験した。

この日、指導を担当してくれたのは、NIKE RUNNING EXPERT(ナイキ ランニング エキスパート)と呼ばれるコーチングスタッフのひとり、秋本真吾さん。元陸上競技選手で、200mハードルアジア最高記録・日本最高記録保持者だ。浦和レッズをはじめとした、現役のサッカー選手たちにも走り方をコーチングする大ベテラン。

「速く走るためのコツ」についてコーチングを受けた。


詳しい内容は上記のリンク先になるが、秋本さんが終始強調したのは「かかとを上げてつま先で着地すること」だった。これを意識するだけで、走る際の姿勢が変わり、体に近い場所で足の接地ができるようになるということを話す。

ただ、常につま先で着地する走り方を保つのは足に負担がかかる。短距離選手はほぼこの走り方を実現できているが、フルマラソンでこの走り方を維持するのは至難の技だ。

秋本さんによると、あるマラソン大会で走り方のデータを計測したところ、およそ1.4パーセントの選手しか、つま先で着地する走り方を維持できていなかったという。





秋本さんは現役時代、かかとを上げてつま先で着地するという走法に取り組んでいこうと思い立ったが、維持することができなかった。そこで、短い距離から取り組んでいくことにした。

「まずは100メートル走って、歩く。回復させて同じフォームでまた100m走る。少しずつ距離を伸ばしていきました」

秋本さんがコーチングする際、大会が近くてフォームを変えようがない人に対しては、「足がつく最初の位置はつま先で」ということだけ徹底させる。そのあとにかかと、足の裏全体がついても問題ない。もっとも重要なのは足が最初に着く場所。最初につま先から入って、最終的にフラット接地すれば長距離でも走りきることができる。

日本人選手が世界の選手に勝ち切ることのできない理由の一つに、この走り方を徹底できないことが挙げられるという。

「5000mや10000m走で、最後の2周目までは日本人選手などが外国人選手についていけても、最後のスプリントで離されてしまう。地足で勝てないんです。最後の方で結局疲れて足全体で着いてしまう」

ロンドン五輪日本代表の山本亮選手(佐川急便)の接地も、外から内に抜ける接地をしていたというデータが出ている。日本の代表選手でもこの走り方をマスターできていないということだ。つま先で接地する、いわゆるフォアフットと呼ばれる走り方だが、「日本マラソン界でこの走り方を身につけている選手はいないのではないか」と秋本さんは話す。

ここで秋本さんが紹介したのが、アメリカの長距離走強化のためにナイキによって 2001年に作られたチーム、ナイキ・オレゴンプロジェクトだ。日本からは唯一大迫傑選手が参加している。

「大迫選手はおそらくつま先着地で5000m~10000mを走り切ってしまうでしょう。彼が距離を伸ばしてマラソンの世界に行っても面白い」

秋本さんは、日本マラソン界の保守的な姿勢を指摘した。

「日本の実業団に、『世界のトップはつま先着地で走っている』ということを伝えても、今更走り方は変えられないという返事が返ってくる」

小さい子達に「短距離でも長距離でも、フォームは同じなんだということを教えることが将来的に大事」と続けた。

「オレゴンプロジェクトもそもそものフォームがあって、人があって、あそこで揉まれている。最先端の練習といっても、いい練習はすでに行くところまでいきついていると思うんですね」

「山梨学院などを見ても、結局は外国人選手が強い。フォームがいい」

外国人選手が生まれ育った環境を見ても、良き指導者に全員が巡り合っているとは言うことは難しい。そのあたりはどうなのだろか。

「僕は、裸足文化が根付いているからだと思うんですね。かかとから足を着くと、衝撃がモロにかかる。裸足で歩くと、勝手につま先立ちになるんです。裸足文化によって、こういった習慣がついているのでは」

平気で裸足でつま先接地をして5000~10000メートルを走る若い外国人選手。秋本さん曰く、それは裸足文化により本能的に身についた走り方だ。秋本さんはこの状況を解決するヒントを、日本のあるアイテムに見出している。

「日本には『縄跳び』というつま先を使わせる素晴らしい文化があるのだから、つま先接地の延長線上に長距離の走り方もあるのだということを広めていきたい」
《大日方航》

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