中南米の強豪であるU‐22コスタリカ代表をユアテックスタジアム仙台に迎えた、7月1日の国際親善試合ではU‐22日本代表が2対0で快勝。ワントップで先発した浅野も、後半16分までプレーしている。
数少ない強化試合のひとつで見せた会心のパフォーマンスとゼルビア戦とを比較すると、浅野によれば「あのときのチーム力の半分も出せていない」という。
「一人ひとりが難しいと感じながらやっているというか。個々で崩す場面も必要ですけど、チームがひとつになって戦うためにも、個々がレベルアップしなきゃいけない。これからもそう長い期間は集まれないと思うので、そういう状況のなかで一人ひとりがどのように工夫していけるか。それができれば、代表チームにきても100%を出し切れる戦いができるはずなので」

4年に一度のスポーツ界最大の祭典を目指すチームの中心は、東アジアカップに続いてワールドカップ・アジア2次予選でもA代表に招集されたキャプテンのMF遠藤航(湘南ベルマーレ)となる。
もっとも、8月の京都合宿に続いてゼルビア戦も、遠藤は招集されていない。理由はA代表をも兼務する過密日程に加えてもうひとつあると、U‐22代表を率いる手倉森誠監督はゼルビア戦後に説明した。
「こんな試合をやっていれば、あらためて彼(遠藤)の存在感というものが際立ってくる。彼だって(累積警告で)出場停止もあり得るわけだから、いない状況でも機能するチームにしていかなきゃいけない」
遠藤に続くのは、ヨーロッパでプレーしているFW久保裕也(ヤングボーイズ)とMF南野拓実(ザルツブルク)。浅野も常連ではあるが、サンフレッチェでは年齢がひと回り違うベテラン佐藤の牙城をいまだ崩せていない。
それでも、浅野は自身が置かれた現状と課題とを認める素直な心をもち続け、決してスピードだけにおぼれることなく、フィジカルをも鍛える不断の努力を課し続けた。ライバルチームのエースである宇佐美の、特にドリブルからシュートにもち込むまでのスムーズな動きを自らのイメージに刷りこむ作業も忘れなかった。

プロ初ゴールは4月18日。敵地で行われたFC東京戦の後半27分から佐藤に代わって投入され、10分後に1対1の均衡を破る決勝ゴールを叩き込んだ。チームに勝利をもたらした至福の喜びと、歩んできた道が正しかったという確信。すべてが触媒となって成長は一気に加速され、いまではリーグで群を抜く「90分間あたりの得点率」をマークするストライカーへと変貌を遂げた。
短期間で鮮やかに変わった自負があるからか。AFC・U‐23アジア選手権まで残り4カ月を切り、U‐22日本代表を完成させる時期に差しかかっても、不思議と浅野は焦りを感じていない。
「自分もすごく危機感を感じていますし、不安な部分もあります。チームのみんなも感じていることだと思いますけど、それ以上に自分は期待している部分もある。確かに残された時間は少ないけど、そのなかで自分たちがどれだけできるのかという楽しみが僕のなかにある。もちろん、楽しみだけで終わらせるのではなく、結果として表さないと意味がないこともわかっています」
1996年のアトランタから5大会連続で紡いできた五輪切符を、2020年の東京へとつなげるために。エスパルス戦のわずか6分間のうちに決めた2つのファインゴールには、「ジャガー」という愛称をつけられたスピードスター候補生が抱く、未来への危機感と期待感が凝縮されていた。