【澤田裕のさいくるくるりん】ヤビツ峠は“裏”から攻める | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【澤田裕のさいくるくるりん】ヤビツ峠は“裏”から攻める

オピニオン コラム
紅葉に囲まれた渓谷に、晩秋の日差しが降り注ぐ
  • 紅葉に囲まれた渓谷に、晩秋の日差しが降り注ぐ
  • 道幅は1.5車線ほどで、交通量は少ない
  • 昼食をとった「きまぐれ喫茶」には、サイクルスタンドが設置されている
  • 昭和の名水百選に選ばれた「護摩屋敷の水」で、ボトルに湧き水を汲む
丹沢山地を縦断する県道70号線は、ヤビツ峠(標高761m)をはさんで南が表ヤビツ、北が裏ヤビツと称されています。多くのサイクリストが“表”から上るこの峠を、連休の最終日に“裏”から上ってみました。

前夜はクラブの行事で相模湖の北、陣馬の湯に宿泊。朝9時過ぎに宿を発つと、まずは相模湖を渡って宮ヶ瀬湖を目指します。いくつかあるなかから僕が選んだのは、県道518号線と県道64号線をつないだ最短ルート。ただ途中には山越えもあり、距離は延びるものの国道412号線と県道514号線をつないだルートのほうが楽だったようです。

都市近郊のリゾート地として整備され、水の郷をはじめ観光スポットが点在する宮ヶ瀬湖で小休止。近くには駐車場もいくつかあり、クルマでのアプローチにも便利です。そこから中津川(布川・藤熊川)が刻んだ渓谷を峠に向け上り始めます。山の斜面は紅葉に彩られ、清流とともに渓谷美を演出。ところどころで立ち止まり、その光景をフィルム…ではなくメモリに収めます。


道幅は1.5車線ほどで、交通量は少ない

道幅は狭いものの勾配はゆるやかで、自他ともに認める貧脚の僕でも、フロントをインナーに落とさなくても平気です(といってもギヤ比は48×27ですが…)。また、短いながら下る区間もあり、そこで息を整えます。人気のない山奥で心細いからでしょうか。出会ったサイクリスト同士、自然とあいさつが口をついて出るのもうれしいものです。


昭和の名水百選に選ばれた「護摩屋敷の水」で、ボトルに湧き水を汲む

道沿いにある「護摩屋敷の水」は、秦野盆地湧水群のひとつとして昭和の名水百選に選ばれています。これをボトルに詰め、ひと上りすると峠です。手前の「きまぐれ喫茶」で昼食をとって遅れたためか、そこにサイクリストの姿はありません。ジャケットのファスナーを上げて準備を整えたら、あとは秦野まで下るのみです。

首都圏からのアクセスに優れ、ヒルクライムの聖地として知られる表ヤビツは、休日ともなると多くのサイクリストが練習に、あるいは脚試しにと訪れます。その結果、クルマが渋滞するなど地域住民の生活に影響を及ぼし、一昨年にはNHKの番組で取り上げられもしました。自転車に道を走る権利があるのは当然ながら、いたずらにトラブルが生じるのは避けたいものです。その点、表ヤビツも下るだけなら渋滞につながることはありません。


昼食をとった「きまぐれ喫茶」には、サイクルスタンドが設置されている

また、冬場の峠道は日当りの悪い北側が凍結する恐れがあるため、一般に北側から上って南側に下るのがよしとされています。スピードが出る下りでスリップしたら転倒、さらにケガをするリスクが高まるからです。その点でもこれからの季節、裏ヤビツを上り、表ヤビツを下るのが正解といえましょう。
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