【山口和幸の茶輪記】ツール・ド・フランス最大の見どころは最終日前日のラルプデュエズじゃなくてここ! | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】ツール・ド・フランス最大の見どころは最終日前日のラルプデュエズじゃなくてここ!

スポーツ まとめ
ラセドモンベルニエ(Lacets de Montvernier)
  • ラセドモンベルニエ(Lacets de Montvernier)
  • ラセドモンベルニエ(Lacets de Montvernier)
  • 2015ツール・ド・フランス第18ステージ
  • ラセドモンベルニエ(Lacets de Montvernier)
  • 2015ツール・ド・フランスの山岳コース高低表
  • 2015ツール・ド・フランスのコースマップ
最終日前日にラルプデュエズにゴールするのだけはやめてほしいと、あれほど言ったのに。2015ツール・ド・フランスのコースは思いっ切りそのとおりになった。車両を運転するチームスタッフや取材陣、広告キャラバン隊には試練となりそうだ。

空路による大移動が2回ある。といっても飛行機に乗るのは選手と一部の関係者のみで、それ以外は陸路の移動を余儀なくされる。最初の大移動は休息日を利用できるが、最終日前日にアルプスのスキーリゾートにゴールする2回目は冷や汗が流れる。

世界190カ国でテレビ観戦するファンは大歓迎のはず。ツール・ド・フランス最高の舞台と言われるラルプデュエズで雌雄を決する戦いが目撃できる。最後まで総合優勝の行方にドキドキするようにという主催者の戦略だ。その一方でボクたち現地取材陣は真っ青。

ラルプデュエズからふもとのブールドワザンまでは距離13kmだが、下山の大渋滞に巻き込まれたら数時間を要する。だからボクはフランス観光開発機構などにお願いして不動産屋を紹介してもらい、山の上のアパートの鍵を貸してもらったりする。それはそれで、2年に一度ほどのバカンス気分を楽しめるのでうれしい。

ところがもし仮に最終日の朝、アパートの鍵を不動産屋のポストに投げ込んでからブールドワザンに下るとなると、グルノーブルまで40km。さらにパリまでは高速を使って500kmだ。シャンゼリゼの周回レースに間に合わないかも知れない。

絶望的な気持ちのままコースを精査してみると、とんでもない峠の画像が目に飛び込んできた。すぐに観光局にお願いして報道用に使える写真がほしいと伝えると、依頼してから13時間経たずに送られてきた写真がこれ。

第18ステージのラスト10km地点に待ち構えるラセドモンベルニエ(Lacets de Montvernier)だ。「lacet」は英語の「lace」、つまりシューレースのことで、クツヒモのようにジグザグな道というニュアンスだ。それか、中世の貴婦人が愛用していたコルセットを締め上げるヒモのことかな。

センターラインが存在しない狭くて急しゅんな林道で、スイッチバックのコーナーは18。よくこんなところに道を作ったなあ。というか、よくツール・ド・フランスでコースにしたなあ。おそらく2日前から一般車の乗り入れが禁止され、当日は関係車両も規制されるだろう。ということは徒歩で上るしかないね。
《山口和幸》

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