エクステラ日本チャンピオンの小笠原崇裕がレポート | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

エクステラ日本チャンピオンの小笠原崇裕がレポート

バックナンバー 過去レポート
 8月25日に群馬県利根郡片品村の丸沼・日光白根山一帯で開催されたXTERRAジャパンチャンピオンシップ丸沼大会は、ドイツのニコ・フィッツマイヤーに続いて小笠原崇裕(26)が2位、日本勢のトップでゴールし、日本チャンピオンの称号を手中にした。
 以下は同選手から
  •  8月25日に群馬県利根郡片品村の丸沼・日光白根山一帯で開催されたXTERRAジャパンチャンピオンシップ丸沼大会は、ドイツのニコ・フィッツマイヤーに続いて小笠原崇裕(26)が2位、日本勢のトップでゴールし、日本チャンピオンの称号を手中にした。
 以下は同選手から
 8月25日に群馬県利根郡片品村の丸沼・日光白根山一帯で開催されたXTERRAジャパンチャンピオンシップ丸沼大会は、ドイツのニコ・フィッツマイヤーに続いて小笠原崇裕(26)が2位、日本勢のトップでゴールし、日本チャンピオンの称号を手中にした。
 以下は同選手からのレポート。

 言葉にできぬ懐かしさ。トライアスロン(以下、TA)は10年ぶり、しかしエクステラはオフロード版TAときた。
 数奇な運命・・なのか出場を決めて半年、走り出しそして春からは泳ぎだした。
走って泳いで感じたことは「こんなんでエクステラを走りきれるのか??」。10年前にTAをやったことなど、いがらっぽさで咽る咳のように咳払いして払拭してしまった。ゼロからの出発だった。
 エクステラのトレーニング方法に迷い翻弄されMTBの成績がおもわしくなかった今夏、それでも「自分に必要な道」と定めて試行錯誤で到った大会当日。
 スイム1.2キロ、バイク26キロ、ラン10キロ、世界ランキングトップ10入りしている選手、昨年、一昨年の日本チャンプたちが強力なライバルだろうか、事前の情報収集で頭の中でイメージを最大限に膨らませて先手先手を考えた。

 スイムは丸沼湖。水温が低いが泳いでいて気持ち良い。スイムで1.2キロを続けて泳ぐのも10年ぶり、このことを隠して最前列に並んだ。号砲一発! 飛び込んでダッシュ!
 最初のブイまで200mほどをダッシュするが、ブイを回ったころにパンプアップ、一気に腕の回転が鈍り呼吸が苦しくなった、そして水をガブ飲みして平泳ぎ・・すでに200人の集団はバラけており15番くらいだと分かったので、これ以上落とさないように呼吸を落ち着けて普段のフォームを取り戻した。
 何人か抜いてスイムアップ。9番ほどでトランジットへ、思っていたより早い! 三半規管が狂ってトランジットではフラフラで靴下を履くのにも凄く時間がかかり・・。とにかく落ち着いてバイクを漕ぎ出すが、上半身がパンパンで身体はフラフラとTAの洗礼をモロに受けている。
 しかもMTBなので上半身を非常に多く使うのだが、使えないので弾かれまくりミスしまくり。その度に焦り・・前半のシングルトラック区間では恥かしい走り。

 中盤から始まる林道の20分の長い登りで先行する選手が見えた。一気に追いついて引き離そうとしたが付いてこられる。エクステラ日本チャンプを獲りMTBでもトップ10でずっと走っていた湯本優選手だ。
 その後も何度もアタックするが引き離せない。そうこうするうちに下りが迫ってきたので再度ダッシュするが、湯本選手の会心のダッシュで先に入られてしまい、後ろに付くことに。
 下りで回復をしようと企んだが、湯本選手はDH選手で活躍していた時期もあったので下りもピカイチ。付いていくだけで抜くことも休むこともできないまま湖畔のシングルトラックへ突入。
 ここで湯本選手に些細なミスが連発し、フォームも崩れてきたことが見て取れたので、さすがに脚にキテいることが分かった。最後の登りでアタックし、引き離して少しでもランでの貯金を蓄える。
 バイクでトップを走るニコ選手には追いつけなかった。トップと2分差、湯本選手と30秒差でランへ。

 脚が重い。前に出ない。腕を振ってストライドを伸ばそうとするが、腕すらまともに振れない。これまたエクステラの洗礼。
 5キロを2周のランコース。最初の登りのアスファルトではピッチを上げてバイクの脚をランの脚へと変換する。そして現われた沢登り。水が流れ、ガラガラと石が崩れる沢を登る。倒木をくぐり倒木を飛び越え、隣の沢を下る。
 少しアスファルトを登り、湖畔に出た。高さ1mほどの段差がところどころにあり、ジャンプというか片足ジャンプで降りていくのだが、筋繊維が悲鳴を上げていることが感じられる。踏ん張りが効かないので着地と同時に膝まで付いてしまう。それでも前に進んでトップを追いかけなければ!
 崖に近いような急坂では、路面がスリッピー。一生懸命踏ん張ってもズリ落ちていく。湖畔はガレた岩で、しかもキャンバーになっている。一歩踏み外したり滑らせたりすればすぐさま湖にドボン!!
 崩れる岩に踏ん張りの効かない脚で着地点を見極めて慎重かつ素早く脚を運ぶ。見えてきたゴール地点だが、あと1周。

 そしてついに太腿が攣りだし、着地の衝撃に絶えられなくなったので、下りでは一歩多く脚を出した。若干ペースは落ちるが、攣って止まってしまうよりはいい。最後の湖畔。足の裏の感覚が鈍くなり、岩が崩れる感覚が掴めなくなって滑りまくる。手を着いて転倒は免れるが、その衝撃で肩甲骨周辺が攣った。もうヤケクソになって前に進んだ。
 何気に後ろを振り返った。そしたら今まで見ていないウエアが見えた。鈍った頭で考える・・・「誰だ?」と。もう一度振り返る。さっきより近づいて来ている。また考えた。「もしや高橋泰夫選手?」。3度目の振り返りで確信!
 昨年度のチャンピオンで、滋賀のデュアスロンで苦しめられたランのエキスパートだ。2周目に走る時に全く視界に入らなかったのに、すぐそばまで追いついて来ていた。ゴールまで残りは500mほど、僕も全力ダッシュ!!
 倍はあろうかというスピードで迫られたが、逃げ切った。2位でフィニッシュ! もうボロボロで身体が痛い。

 夏の粒子を吸い込み、甘い薫りを感じたエクステラ。この瞬間を逃がさないように。そして日本チャンピオン獲得! ニコ選手に負けてしまったのが悔しかったが、半年で仕上げたとしては上出来・・かな??
 10月の終わりに行われるマウイでの世界選手権は思案中です。

 今回、このエクステラ参戦において多くの協力、理解を賜り本当にありがとうございました。日本チャンピオンという大きな称号を手に入れましたのも、ご協力頂いたている方々のおかげです。今後ともども応援のほどよろしくお願いいたします。
《編集部》
page top