
7月の富士スピードウェイ2連戦を終え、全12戦中7戦を消化したスーパーフォーミュラの2025年シーズン。今週末は宮城県のスポーツランドSUGOで第8戦が行われる(予選:8月9日、決勝8月10日)。
気になるタイトル争いは現在、ランキングトップが昨年王者の坪井翔(トムス)で、これを3ポイント差で太田格之進(ダンディライアン)が追うという展開。
坪井は富士スピードウェイ、太田は鈴鹿サーキットと、得意なサーキットが分かれている。SUGO戦の後は、富士で2戦、鈴鹿で2戦。この最終決戦にどちらが優位性を持って臨めるのか、今回のSUGO戦を重要な意味を持つ一戦だと捉えているファンは多いだろう。
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■昨年の結果では実力や優位性は分からず
ちなみに昨年の両者のSUGO戦の戦績は、坪井が3位、太田が14位。しかしながらレースは悪天候によりセーフティカーランでスタートし、リスタート直後にアクシデントが発生し再びセーフティカーという事態が2度続いた後、バリア修復のため赤旗中断となりそのまま終了。どちらが速かったのか、分からない展開だった。
予選でいえば3位の坪井が7位の太田よりも速かったということになるが、その差が決勝にも反映されるのかといえば、もちろんそうとは限らない。予選結果が良く前方からスタートできるのは確かに有利だが、ピットイン義務及びオーバーテイクシステムがあるスーパーフォーミュラは決勝での戦略幅が広く、3位と7位とはいえ予選Q2のタイム差が約0.3秒しかなかったことを考えると、レースではどちらの実力が上だったのか、SUGOはどちらの方が得意なのか、全く想像はつかない。
そもそも“得意なサーキット”というのも、スーパーフォーミュラではほんのわずかな優位性でしかない。それを象徴するのが、前回の富士2連戦だろう。
■SUGO戦はマッチレースにも影響する“大波乱”の可能性
初日の第6戦は下馬評通りに坪井が制し、翌日の第7戦もポールポジションを順当に獲得したが、レースでは太田が逆転勝利した。第6戦後に坪井が「今日良かったからといって、明日も良いとは限らない。ひとつ間違えば簡単に下位に沈む。それがスーパーフォーミュラ」と語っていたが、それが現実になった。
レース序盤の走りを見ていると坪井は前日同様の速さだったが、終盤になりアンダーカットで一時トップに立っていた岩佐歩夢(MUGEN)の攻略に手間取る坪井の動きを後ろから冷静に見ていた太田がその後、一気に2人とも抜き去った。3者で拮抗した中、オーバーテイクシステムを効率よく使えたことが、ひとつの勝因だった。
振り返れば開幕から鈴鹿、もてぎと、ダンディライアンが得意とするコースが4戦続き、そこで太田が2勝を挙げまずはリード。続くオートポリスもダンディライアン側は「自信がある」と語っており、富士ラウンドを前に大量リードを築くのではと予想していたが、その予想を覆し坪井が優勝。対して太田はノーポイントに終わったことが、現在坪井がトップに立つ上での大きなポイントとなっている。
SUGO戦は今のところどちらが有利ともいえない上、コース幅もエスケープゾーンも狭いというサーキット特性から大波乱となる確率も高く、ひとつ間違えばノーポイントも十分ありえる。つまり富士、鈴鹿と続く最終決戦を前に、坪井、太田のマッチレースそのものが様相を変える可能性もあるだけに、ぜひとも注目してほしい一戦だ。
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