
19日からテキサス州のフィールズランチ イーストでメジャー、全米女子プロゴルフ選手権が開催される。
出場する日本勢の中の3名に注目したい。米ツアールーキーイヤーとなる今季、すでに初優勝をあげた竹田麗央と岩井千怜。そして、未勝利ながら日本ツアー時代と同様に安定感が高いプレーを見せている山下美夢有だ。
この3名は、ルーキーオブザイヤーランキングの上位3名。昨年の西郷真央に続く、日本勢の同賞獲得が濃厚な状況となっている。
竹田が頭一つ抜けているが、上位に入れば獲得できるポイントが高い全米女子プロの結果次第では、ルーキーオブザイヤー争いの様相が変わる可能性がある。
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■全米女子オープンで優勝争い
今季1月に初戦を迎えた竹田は、3月のブルーベイLPGAで優勝。米ツアーメンバーとしての初優勝を初戦から2カ月も経たない内に飾った。
他の大会でも、日本ツアー年間女王らしさを披露。14戦してトップ10は6回。5月の全米女子オープンでは優勝争いに加わり2位タイに入った。
初出場となった昨年の全米女子プロは32位タイ。初日107位タイからのスタートだったが、順位を上げながら大会を終えた。
最近の2大会は63位タイ、54位タイと成績は良くない。だが、2位タイに入った全米女子オープン前週の大会が予選落ちだったことからも心配は不要だろう。
ルーキーオブザイヤーレースでトップを快走している竹田は、ポイントレースで2位。年間女王のタイトルをも狙える位置につけている。
■半分以上がトップ25
米ツアー参戦初戦は2月のファウンダーズカップとなった山下。その初戦では4位タイに入った。
その後も流石の安定感を見せている。これまで11戦してトップ10が4回、トップ25(トップ10含)が6回だ。
4月のシェブロン選手権が30位タイ、全米女子オープンが36位タイと、メジャーでは目立った成績を残せていない。だが、昨年の全米女子プロは優勝争いに加わり2位タイ。パリ五輪日本代表入りを大逆転で決めた。
同じくルーキーイヤーを過ごしている竹田と岩井は早くも米ツアー初優勝を飾った。同学年で仲が良い西郷は、メジャー、シェブロン選手権で米ツアー初優勝。次、スポットライトを浴びるのが山下になる可能性は小さくない。
■5月に初優勝
山下同様、初戦はファウンダーズカップとなった岩井。その初戦は予選落ちだったが8戦目で初優勝。
岩井は勝負強い。姉の明愛と比較してもその特徴が見られる。
日本ツアー通算8勝の岩井の日本ツアーでの総トップ10回数は36回。明愛は通算6勝で総トップ10回数が41回。つまり、明愛よりも岩井の方が、上位争いをすれば優勝する確率が高い、と見ることができる。
実際、ファウンダーズカップの優勝が今季現時点で唯一のトップ10。最初のチャンスをものにした。
全米女子プロでも決勝ラウンドに入って上位にいれば、初メジャータイトルが見えてくる。
■日本勢メジャー7戦連続トップ10
現時点での世界ランキングは、竹田が14位、山下が18位、岩井が36位となっている。
トップ50に日本勢は8名。対して韓国勢は12名、米国勢は13名。米ツアーで日本勢の躍進が目立っているが、まだ韓国や米国勢ほどの存在感を見せられているとは言えない。
だが2年前、23年6月19日時点での世界ランキングトップ50は、日本勢が5名、韓国勢が14名、米国勢が12名だった。
各国の勢力図が変わり始めていることがうかがえる。
2010年代の米ツアーでの韓国勢を彷彿とさせる力を日本勢が発揮し始めるのは、そう遠くないかもしれない。
今季メジャー第2戦の全米女子オープンで、昨季のメジャー第1戦シェブロン選手権から続く、日本勢のメジャートップ10が「7戦連続」となった。
今回の全米女子プロでは、日本勢のメジャーでの連続トップ10を「8」に伸ばすのはもちろん、より強い日本旋風を感じさせる大会にしてほしい。そうなるのであれば、その中心にいるのは、今回紹介した米ツアールーキー3名かもしれない。

海外メジャー 日本勢トップ10選手
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。