【スーパーGT】第4戦 これが見納めか、ミシュランタイヤの圧巻パフォーマンスショー | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【スーパーGT】第4戦 これが見納めか、ミシュランタイヤの圧巻パフォーマンスショー

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【スーパーGT】第4戦 これが見納めか、ミシュランタイヤの圧巻パフォーマンスショー
  • 【スーパーGT】第4戦 これが見納めか、ミシュランタイヤの圧巻パフォーマンスショー

スーパーGTのGT500クラスは現在、クルマはトヨタ、ニッサン、ホンダの3メーカー、タイヤはブリヂストン、ヨコハマ、ミシュラン、ダンロップの4メーカーが参戦している。

クルマに関しては共通のモノコック、エンジンも規格統一されていることで、それほど大きなパフォーマンス差は生じない。ところがタイヤに関しては、状況によって驚くような差が生まれ、それがレースを左右することがたびたびある。ここ数年でいえば、ウェット時のミシュランタイヤの速さは圧巻である。

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■ミシュランタイヤが主役のレース展開

富士スピードウェイで2回目の開催となった第4戦は、台風6号の接近により決勝は雨がらみとなることが予想されていた。“恵みの雨”を最も期待していたのが、ミシュランタイヤを装着するニスモ3号車(千代勝正/高星明誠)だったのではないだろうか。

2勝を挙げた昨シーズン、最終戦で逆転されタイトルを逃してしまった3号車にとって当然、今シーズン成すべきはそのリベンジ。しかしここまで毎戦着実にポイントを重ねてはいるものの優勝がなく、トップのトムス36号車(坪井翔/宮田莉朋)とは7ポイント差の2位。サクセスウェイトが50キロを超え燃料リストリクターの制限を受けている3号車にとって、7ポイント差は結構大きな差だ。第4戦はウェイトの軽い、富士SWを得意とするトヨタ勢が本命視されていた。3号車も第4戦で逆転できるとは考えていなかったという。

3号車の予選順位は5位。これはドライバーに聞いたところ、やや予想外だったようだ。問題はレース。燃料リストリクターの制限を受けていることで、長いストレートがある富士は戦いにくい。また予選で好タイムを出せたひとつの要因が、ミシュランタイヤの温まりの早さだった。これは100周、450キロのロングレースでは諸刃の剣でもある。

だが、雨となれば話は別。ミシュランがウェット時に優れているのは発熱性能だけでない。路面が乾いてきてもタイムが落ちにくいことも大きな武器だ。実際にレースは雨がらみとなった。しかもかなり気まぐれな降り方で、スタート時に降っていた雨はすぐにやみ、10周もするとドライ有利に。そしてレースは66周目にストップしたマシンが炎上したことで赤旗中断となり、再開までにかなり時間がかかった。その再開直前に、再び雨が降ってきた。

5番グリッドの3号車は、レースがスタートしてからわずか2周でトップに浮上。そして、雨がやんだ後はドライタイヤ交換の判断が遅れ元の5位に一時後退したが、赤旗解除後再び、同じくわずか2周でトップに返り咲いた。そこからまた路面が乾き始め、残り10周あたりからドライタイヤに交換するマシンも現れ始めるが、3号車はそのまま走り続け、さらにタイム差を広げてトップチェッカーを受けた。マシンの速さもドライバーの技術も凌ぐ、ミシュランタイヤが主役のレースだったと思う。

この圧巻のショーは今回が初めてではない。トップカテゴリーのレースだけに、その究極のスピードバトルが見られるドライコンデイションのレースがどちらかといえば望ましいが、SUPER GTには雨でこその見応えもある。その圧巻のショーは、先日ミシュランが今シーズン限りの撤退を発表したことで、これが見納めになるかもしれない。雨の中でも観戦に来て良かった、と思って帰路についたファンもきっと、今回は多かったことだろう。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

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