【プレミアリーグ】“欧州王者”マンチェスター・シティを紐解く5つの指標 世界最強に君臨するスター軍団が見せた進化 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【プレミアリーグ】“欧州王者”マンチェスター・シティを紐解く5つの指標 世界最強に君臨するスター軍団が見せた進化

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【プレミアリーグ】“欧州王者”マンチェスター・シティを紐解く5つの指標 世界最強に君臨するスター軍団が見せた進化
  • 【プレミアリーグ】“欧州王者”マンチェスター・シティを紐解く5つの指標 世界最強に君臨するスター軍団が見せた進化

今季の欧州王者に輝いたイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティは、リーグ戦を3試合残して優勝し、FAカップも獲得したことで3冠達成チームとなった。そのマンチェスター・シティは今夏来日し、7月23日に「明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2023」で横浜F・マリノスと、7月26日にはNTTドコモとJリーグが共同開催する「Audi Football Summit」でバイエルン・ミュンヘンと試合を行う。今回は改めて欧州王者マンチェスター・シティの強さについて5つの指標から確認していきたい。

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■指標1・絶対的エース「ハーランド」

リーグ35試合に出場して36得点をあげ、1シーズンにおけるプレミアリーグの新記録を樹立したノルウェー代表のFWアーリング・ハーランドの存在は彼自身をして“指標”と評して良い存在だろう。

チームは前年もリーグ制覇をしているが、FWのポジションに入るのはMFフィル・フォーデンやFWガブリエル・ジェズス(現・アーセナル所属)であり、ゼロトップシステムに近い形が採択されるケースが多かった。現にこのシステムで積み上げた得点は99と今季の94よりも多かった。しかし、昨季シーズン内から既に指揮官ペップ・グアルディオラからストライカーの存在が必要だとの言及がなされると、昨夏ドイツ・ブンデスリーガのドルトムントからハーランドを獲得。結果、プレミアリーグとチャンピオンズリーグ(12得点)で得点王となり、優勝に大きく貢献した存在となった。

■指標2・多彩な供給源

前年は2桁得点者が3名(ケヴィン・デ・ブライネ/15G、ラヒーム・スターリング/13G、リヤド・マフレズ/11G)に対し、今季はハーランド(36G)とフォーデンの11Gと得点源が一極集中となった一方で、元からクリエイティブな能力値の高い中盤の選手がアシストの形で躍動したシーズンでもあった。

前年は2桁アシストがゼロで、5A以上が6名(デ・ブライネ/8A、ジェズス/8A、ジョアン・カンセロ/7A、フォーデン/5A、スターリング/5A、マフレズ/5A)に対し、今季は二桁アシストが2名(デ・ブライネ/16A、マフレズ/10A)、5A以上が5名(ハーランド/8A、ジャック・グリーリッシュ/7A、ロドリ/6A、フォーデン/6A、ベルナルド・シウバ/5A)と明確なターゲットストライカーを目掛けたアシスターの力も目立ったシーズンだった。

■指標3・欧州5大リーグ1位の保持率

プレミアリーグだけでなく、欧州5大リーグ内でもトップの65.2%の保持率を誇ったマンチェスター・シティだが、この指標単体では効果を発揮しない。主だって言えばどれだけ敵陣に侵入し、高い位置で攻撃を繰り広げ、得点につなげられたかが鍵となる。

ピッチを3分割した敵陣奥のエリア(=アタッキングサード)にパスで侵入できた回数は1770回でリーグ1位(2位はアーセナルの1637回)、ドリブル等で侵入した回数は753回でこちらもリーグ1位(リーグ2位はチェルシーの622回)となっている。一試合平均に換算するとパスでの侵入は46.6回で2位アーセナルの43.1回とは3回差、6位マンチェスター・ユナイテッドの33.4回とは10回以上の差が開いている。ドリブル等での侵入回数は19.8回で、2位のチェルシー16.4回とは3回差と放している。前年とはスタイルが変われど、徹底的な保持から幾度も繰り出される攻撃で相手ゴールを脅かす形式は健在だった。

■指標4・ボランチ⇔センターバック・ストーンズ

明確なデータではなく、戦術やシステムに関する話だが、年明けから【可変式・3-2-4-1】の新布陣を採用したことが功を奏した。CL準々決勝・バイエルン1stレグ戦勝利やリーグ終盤に怒涛の11連勝にも貢献したこのスタイルはまず、本来はCBのジョン・ストーンズを一列上げてボランチに配置する。

攻撃時は配球力の高いストーンズを中盤底でボールをDFラインと前線を繋ぐ役割を行い、守備時には3CBの中に入り込み、4CB化するものとなっている。近年のサイドバックの役割は複雑化しており、自陣や敵陣の往復を多くのレーンをまたいで行わなければならず、ボールを奪われた後の帰陣が遅くなってしまう課題があった。しかし、最前線にまで侵入するわけでもないストーンズが即帰陣することでDFラインに安定性と数的な優位性が保たれ、敵軍の攻撃を止められる格好となる。昨季よりややトータル成績は落ちたものの、94得点33失点はいずれもリーグ1位の数値であり、新ストライカー採用に紐づく複数のアップデートが優勝をもたらしたといっていいだろう。

■指標5・唯一の100切り

最後にお伝えしたいのが守備面に関する指標となる。優勝したとはいえ、昨シーズンの失点数26から7つ多い33失点でフィニッシュしたのが今季のシティだ。しかし、指標4でお伝えした【3-2-4-1】システムを導入した後半19試合だけで考えると、19試合で失点13であり、失点率は前年と変わらないクオリティに引き上がっていた。

シティは枠内に放たれたシュート数自体がリーグで唯一100本を切る92本になっており、2位のニューカッスル127本とは30本以上の差、つまりシティが一試合に放たれる枠内シュート数自体、他のチームと1本以上の差があることがわかる。

来月には来季のプレミアリーグも開幕するが、移籍が進行している現在、日本で試合を見ることのできる2試合が新シーズンに向けてのお披露目戦になる可能性も高い。ストライカー・ハーランドを中心とした攻撃やストーンズを中心とした可変戦術により注目が集まることだろう。

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文●佐藤祐一(さとう・ゆういち)

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