【スーパーフォーミュラ】第6戦 リアム・ローソン3勝目、三つ巴の戦いは野尻智紀が一歩後退か | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【スーパーフォーミュラ】第6戦 リアム・ローソン3勝目、三つ巴の戦いは野尻智紀が一歩後退か

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【スーパーフォーミュラ】第6戦 リアム・ローソン3勝目、三つ巴の戦いは野尻智紀が一歩後退か
  • 【スーパーフォーミュラ】第6戦 リアム・ローソン3勝目、三つ巴の戦いは野尻智紀が一歩後退か

スーパーフォーミュラ2023年シーズンは後半戦に突入し、開幕2戦と同じ富士スピードウェイで16日、第6戦が行われた。

◆【実際の映像】勝利者インタビューで第6戦の勝因を語るリアム・ローソン

■ドコモ・ダンディライアンとナカジマレーシングがレースを変えた

第5戦までのタイトル争いの流れは、開幕2戦をチーム・無限のリアム・ローソン野尻智紀が1戦ずつ制し、ローソンが第4戦で2勝目を挙げ1歩リードするも、第3戦に続き第5戦で同じく2勝目を挙げた宮田莉朋(チーム・トムス)がトップを逆転というもの。

宮田、ローソンは優勝以外のレースでも速さが安定しており、野尻もノーポイント2回と予想外の失速がありながらもまだ追いつけるポイント差であり、その力も十分ある。まだまだ3人の接戦は続くものと予想された。

ところが迎えた予選は、前半戦とは異なる勢力図となった。

先月、富士スピードウェイで行われた公式テストで手応えを掴んだように見えていたドコモ・ダンディライアンとナカジマレーシングが、その通りに躍進。ポールポジションを獲得したのはダンディライアンの牧野任祐で、チームメートのルーキー太田格之進が3位。ナカジマレーシングも佐藤蓮が4位、山本尚貴が6位と、いずれも今シーズン最高の予選結果。ランキング上位3人の中の最高位はローソンの2位で、宮田は5位、野尻は7位と、それぞれ前に、新勢力が立ちはだかることになった。

レースでもダンディライアン、ナカジマレーシングの4台は力強かった。そんな中、完璧なレース運びで逆転優勝を飾ったのがローソン。序盤トップと約1秒差をキープすると、11周目にピットインしアンダーカットを狙う。これに反応して牧野も翌周ピットインし、なんとかローソンの前でコースに復帰したが、想定よりも温度が低くなった路面でタイヤをすぐに温められず、オーバーテイクを許した。ローソンは以降、牧野を寄せつけず、今シーズン3勝目を上げ予選2位の2ポイントとあわせ22ポイントを積み重ねた。宮田も前半こそ5位キープに留まるも後半ジリジリと順位を上げ、3位表彰台をもぎ取り1ポイント差でランキングトップを守った。この1戦を見る限り、タイトル争いは2強に絞られたと思える。

その理由は野尻にもある。今回、レースでの上がり目はほぼなかったという。レース後のコメントは「レース前から戦えるペースがないことが分かっていた」。セットアップがうまくいかないという悩みは、決勝前のフリー走行で開幕戦のセッティングに戻してみたほど深刻だった。それは今回急にそうなったわけではなく、実はシーズン序盤から抱えていたトラブルだった。ニュータイヤでの一発の速さはなんとかなるものの、レースペースを安定させるのはかなり難しく、つまりこれまでの好成績はギリギリの状況で維持してきた、非常にもろいものだったということだ。

第7戦の舞台、モビリティリゾートもてぎは、ローソンにとって初レース。宮田は苦手なコースだと語っていた。そうなると2人に20ポイント以上の差をつけられた野尻がタイトル戦線に復帰するチャンスもまだあるのではとも思うが、現状ではそれも少し難しそうだ。

同じく初レースだったオートポリスでのローソンの速さを考えると、もてぎでもうまく順応してくる気がする。宮田の今シーズンの強さも、過去のデータを覆すに十分。レースそのものは接戦となるのだろうが、その中で最後の鈴鹿2連戦に向けどちらがタイトルへのリーチをかけるのか、グリッド順がより重視されるもてぎだけに予選から興味深い戦いとなりそうだ。

◆【実際の映像】第6戦決勝レース、白熱のハイライトはこちら

◆王者不在の第4戦、リアム・ローソンが2勝目を挙げランキングトップ浮上

◆国内トップカテゴリー50周年を機に高まる近藤真彦JRP新会長への期待

著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

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