【ラ・リーガ】久保建英、4年目の飛躍を紐解く3つのスタッツ 際立った「CPA」と「PPR」、若き至宝が見せた進化 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ラ・リーガ】久保建英、4年目の飛躍を紐解く3つのスタッツ 際立った「CPA」と「PPR」、若き至宝が見せた進化

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【ラ・リーガ】久保建英、4年目の飛躍を紐解く3つのスタッツ 際立った「CPA」と「PPR」、若き至宝が見せた進化
  • 【ラ・リーガ】久保建英、4年目の飛躍を紐解く3つのスタッツ 際立った「CPA」と「PPR」、若き至宝が見せた進化

ラ・リーガのレアル・ソシエダに在籍する日本代表MF久保建英のスペイン4シーズン目が終了した。

今季は強豪クラブで序盤から主力を務め、35試合に出場して9ゴール4アシストと結果を残しただけでなく、華やかなプレーに加え献身的なプレーに胸を打たれた現地ファンからはチームのシーズンMVPに推される声もあがるほどだ。

実際に米国の大手スポーツ専門サイト『The Athletic』やスポーツ専門チャンネル『ESPN』などでは「今季のラ・リーガベストイレブン」に選出されており、スペイン国内メディアでも、バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』でも11傑の中にその名を連ねている。

今回は今シーズンにおける久保の傑出点や前シーズンからの成長について振り返りたい。

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■改善された得点へのプロセス

久保の今季、最も伸びたポイントは得点数だ。今季はリーグ戦9ゴール4アシストを記録したが、過去3シーズンの合計が6ゴール5アシストだったことを踏まえれば、得点+アシストの数値では今季の突出ぶりがうかがえる。ただ、サッカーにおける「得点」は全てのアクションにおける結果であり、得点につながるプロセスを確認する必要がある。

得点増加の主要因はシュート数の増加だ。過去最もシュートを放ったシーズンは1年目のマジョルカ時代で、シーズン55本。当時の出場時間は2312分、今季は2439分で72本を放ち、90分間あたりでのシュート数的にも2.14本から2.66本に増加している。90分間あたりで考えれば、2.69本放った昨季2度目のマジョルカ時代の方がやや上だが、枠内飛ばした数が少なかった。90分あたりでは0.45本、今季は1.11本放っており、シュート本数に加えて、枠内本数、精度を踏まえた上での成長が見て取れる。

次に、シュートを放ったいうことはそれだけ、シュートを放つことのできるポジションへの位置取りができていたともとれる。

久保を際立たせるデータの一つが「Progressive Carries」と呼ばれるドリブルしながらボールをどれだけ前進させたかという項目だ。その中でも「CPA/Carries into Penalty Area」と呼ばれるドリブルでペナルティエリアに侵入した回数においてシーズン66回を記録し、リーグ5位にランクインしている。1位のFWヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)が140回と飛び抜け、2位FWロドリゴ(レアル・マドリード)、3位タイでFWサムエル・チュクウェゼ(71回/ビジャレアル)、MFヤニック・フェレイラ・カラスコ(71回/アトレティコ・マドリード)と並んだ次に位置する。

日本代表ではブライトンに所属するMF三笘薫も同項目のデータが際立っており、欧州5大リーグ(プレミアリーグに加えて、スペイン・ラ・リーガ、ドイツ・ブンデスリーガ、イタリア・セリエA、フランス・リーグ・アン)を含めたランキングでは三笘が4位、久保が12位にランクインしている。

■向上した狭い空間内でのプレー

もう一つ言及しておきたいデータは、「PPR/Progressive passes Recieved」と呼ばれる、一定距離を伴った自陣から敵陣内または敵陣内でも前進性を伴うパスを奪われずに受けた回数値だ。久保が過去に所属したチームに比べて、レアル・ソシエダはたしかにボール保持することを大事にするサッカーを行った。

しかし敵陣奥に侵入するのであれば、相手選手の厳しい監視や激しいプレッシャー、屈強な体躯が飛んでくる中でも、一瞬の隙をうかがい、ボールを受けるエリアを発見する必要がある。シーズンに239回も前進性を伴うパスを受けることに成功しており、昨季は107回、スペイン初年度のマジョルカ時代でも153回と、過去比較でも成長が見て取れている。

過去に在籍したクラブでは、サイドでボールを奪った後、久保を中心に自陣低い位置からボールを運ぶ必要があり、さらにはフィニッシュやラストパスまでも求められた。ソシエダでもハイプレスや敵陣内でのボール奪取から相手ゴールを強襲するショートカウンターも発揮しているが、やはりボール保持時からが増えた。瞬間的に侵入できるエリアやスペースを見つけ出してパスを受け、狭い空間内で巧みにボールを操る技量の向上が結果として各種データや得点力の向上に繋がったのだろう。

久保は既に残留を明言しているため、来季は初の欧州チャンピオンズ・リーグを戦うことになる。さらにステージが上がる中で、若き至宝の活躍に注目したい。

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文●佐藤祐一(さとう・ゆういち)

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