2023年FIA世界ラリー選手権（WRC）第4戦クロアチア・ラリーは21日、クロアチアの首都ザグレブを中心に開幕。8本のステージが行われ、昨年12年ぶりに開催されたラリー・ジャパンでも優勝を飾ったヒョンデのティエリー・ヌービルが1時間16分2秒4でフィニッシュ、初日首位に立った。
◆【実際の映像】ブリーンの弔い合戦 アイルランド・カラーで首位を疾走するヌービル
■ヒョンデのクレイグ・ブリーンが事故死
同ラリーへの出場を予定していた同じヒョンデのクレイグ・ブリーンは大会前のテストで事故死。サービスパークは深い悲しみに包まれ、ラリー関係者はブリーンに敬意と哀悼の意を表した。ラリーでは同僚ヌービルがブルーンを弔うかのように首位を奪取した。
現地20日、事故死したクレイグ・ブリーンに哀悼を示すWRCクルーたち (C) Red Bull Content Pool
2位には5.7秒遅れてTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンスが、3位にはフォードのオィット・タナックが入った。トヨタのセバスチャン・オジエは5位、勝田貴元が6位、前年王者カッレ・ロバンペラは8番手と出遅れた。
今回で3年連続、3回目のWRC開催となるクロアチア・ラリーは、今シーズン最初の純粋なターマック（舗装路）ラリー。ザグレブに置かれたサービスパークを中心に、3日間で20本のステージを走行、その合計距離は301.26kmとなる。
前日のシェイクダウンに続き、ラリーは21日朝から競技がスタート、サービスパークの西側に展開する4本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。8本のステージの合計距離は130.18kmと、3日間で最長。午前中のステージはドライコンディションだったが、午後は一時的に雨が降り、一部路面は濡れ、湿った状態だった。
■ヒョンデに遅れを取るトヨタ勢
トヨタのエバンスは2番手から追い上げなるか (C) Red Bull Content Pool
2021年大会でオジエと最終ステージまで優勝を争い、わずか0.6秒差の総合2位でフィニッシュしたエバンスは、SS1こそ5番手タイムでしたが、その後は安定して2、3番手タイムを刻み総合2位をキープ。デイ1最終のSS8ではベストタイムを記録し、首位と5.7秒差の総合2位でデイ1を走破した。
また、現在ドライバー選手権で首位に立っているオジエは、SS1でベストタイムを刻みいいスタートを切ったが、続くSS2で路面からの衝撃でホイールがダメージを受け、停車し交換作業を行なったため大幅にタイムロス。しかし、その後3本のベストタイムをマークするなどして追い上げ、総合5位で一日を終えた。
ロバンペラは、SS2でオジエと同じ場所でやはりホイールにダメージを負い、交換作業で大きくタイムを失った。
首位のヌービルはラリーに先立ち「つらいラリーになるだろう。だが、チームとして、ラリーのファミリーとして、自分たちは力強く前進しなければならない。クレイグもそれを望んでいる」と哀悼の意を評した。ラリー後は「我々は堅実に仕事をこなしたよ。でも簡単ではなかった。1日が終わることにはずいぶんとましになったし、午後は楽しんで走ることができた。最後まで首位を走ることができるといいね。そうすれば、チームにとって功績になる」と前を向いた。
なお、本大会ではヒョンデのマシンは、アイルランド人のブリーンへの哀悼の意として、アイルランドの国旗の色で出走している。
◆【後編】第2戦クロアチア・ラリー ブリーン弔い合戦は同僚ティエリー・ヌービルが初日首位
◆ヒョンデのクレイグ・ブリーンが事故死 レース界が哀悼の言葉で埋まる
◆世界ラリー選手権2023年シーズン特集 トヨタは3年連続3冠獲得なるか、カッレ・ロバンペラの連覇は… 速報・結果一覧
文●SPREAD編集部
初日を総合首位で終えたT.ヌービル組。
「ひとまずの所、良い形で達成できているかな😄」☔️天候の左右はあったものの、路面状況が比較的よかったと言えるSS3/7やSS4/8は「楽しく走れた」との笑顔も。
2位のエバンス組と5.7秒差。
pic.twitter.com/3qSeSDPCvh— WRC – FIA世界ラリー選手権公式🇯🇵 (@officialWRC_JP) April 21, 2023
