【山口和幸の茶輪記】死ぬまでに泊まってみたいホテル =ただしお金をかけない編= | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】死ぬまでに泊まってみたいホテル =ただしお金をかけない編=

オピニオン コラム

カルカッソンヌ郊外のペノーティエという小さな町にプライベートプールつきのプチホテルがある
  • カルカッソンヌ郊外のペノーティエという小さな町にプライベートプールつきのプチホテルがある
  • これがラ・ベイティナの入口。民家とまったく変わらない
  • 部屋の外にもソファチェアがあり、カーテンで仕切ることも
  • 通りには年代物のシトロエン2CVも
  • シトロエン2CVの向こうにあるのがラ・ベイティナの入口
  • 部屋の中は清潔で快適そのもの
  • プールサイドから部屋のほうを望む
  • ネコの置物が多いのだが、ホンモノのネコもいる
死ぬまでに見てみたい絶景とか泊まってみたいホテルとか、そりゃあお金をかければ誰でも目撃・利用できる。ツール・ド・フランス四半世紀の取材でのべ800泊を過ごしたが、1万円以下で泊まれ、しかも最高の気分にひたれる宿泊施設ベスト3を紹介してみたい。

標高2877m、天文学者が寝泊まりするピック・デュ・ミディ天文台に1泊2食つきで過ごした記事など、これまでにも観光大国フランスのおすすめ宿泊施設を紹介してきたが、今回はリーズナブル価格ながら必ず満足できるホテルを3件紹介したい。1泊数万円も出せばだれだって居心地のいいホテルに泊まれる。でもいかに庶民価格で、それでいて「フランスに来てよかったなあ」というホテルも探せばあるんです。

【山口和幸の茶輪記】ピック・デュ・ミディ天文台でフランスの底力を見た

23日間の日程で争われる世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスを単独・自費で1997年から2016年まで取材をしてきたが、これだけ長丁場だと1日あたりの経費を抑えないと経費がかさむばかり。でも、心身ともにリラックスできる部屋で蓄積した疲労はその日のうちに癒したい。そんな思いがあるから、安いけれど雰囲気のいいホテルを見つける嗅覚というのが自然と備わった。

清潔で快適な部屋でくつろぎたい

もちろん、1年前から予約が埋まってしまうアルプスの勝負どころでは、フランス政府の力を頼って地元不動産屋に空いている部屋の鍵を貸してもらうなど奥の手は使いますよ。

【山口和幸の茶輪記】ラルプデュエズは2度上るものじゃない!

でも、ボクのホテル手配の原則はシングルユースで1日1万円以下(2人なら半額になります)、不測の事態に備えて当日午後イチまでキャンセル無料、クルマがあるので郊外の閑静な落ち着いたロケーションの3本立て。快適なところでゆっくりしたいんだけど、当日は夕方までゴール地点で原稿に追われ、翌日には次のスタート地点に向かうという生活なので、プールなどのアメニティがあっても使う時間がないという境遇。

以上を条件に、フランスのあらゆるホテル、オーベルジュ(旅籠)、ロジ(レストラン完備の旅の宿)、ジット(貸別荘)、シャンブルドット(民宿)など800施設のベスト3は…。

■プールサイドにはキッチン…民家すぎて入口が分からず

2016年の第10ステージは隣国アンドラのエスカルデスエンゴルダニからフランスに戻ってルベルまでのコースだった。つまり南西フランスだ。翌ステージのスタートはカルカッソンヌだったので、この日の宿は「カルカッソンヌを見ずして死ぬな」と言われる歴史ある町の郊外にあるペノーティエ(Pennautier)という小さな町。インターネット予約サイトでここにラ・ベイティナ(La Beytina)というよさそうな宿を見つけて予約していた。

住所をカーナビに入力して口笛を吹きながらこの日の宿となるべき目的地に到着したはずなのだが、ほこりっぽい風が吹き抜ける狭い道には民家の玄関ドアが並ぶだけで、戸惑ってしまった。どこにもホテルの看板がない。仕方なく教会のある町の中心地に戻って地元の人にたずねるのだが、だれもホテルの存在を知らない。

街中を歩き尽くしたころには不安でドキドキしてきたが、もう一度落ち着いて住所から確認しようと、通りの名前と地番をたずねると民家のドアの横に「La Beytina」という飾り文字。呼び鈴を押すと女盛りのマダムが「ようこそ。待っていたのよ」と声をかけてくれた。結局、カーナビが最後に案内をやめたところだった。

寒くてプールには入れずも、プールサイドで筋トレくらいは…

中に入るとプールサイドの部屋にプライベートデッキ。キッチンもついていて食材を買い込んでくれば自炊もできる。しかもネコも居ついていた。夕食の提供はないので最寄りのレストランのありかを聞いたら、「隣町ね」というので、町に1件しかない閉店間際の商店で調理せずに食べられそうなものを買い込んで部屋飲み。

料金は146.3ユーロ(1万75000円)と予算オーバーだったが、ダブルベッドなのでカップルで泊まれば1人あたりの料金は半額になる。欧文表記も書いておいたので、ホテル予約サイトで検索すればだれでも予約できるので、ぜひたずねてみてね。「日本人は初めて~」と女盛りのマダムが大喜びしてくれて、旅行者が記す「リーブルドール(金の本)」になにか書いてと言うので、縦書きの日本語で「ちはやふる…」と一句。

次週の後編は2013年の第7ステージ(モンペリエ~アルビ)、2015年の第13ステージ(ミュレ~ロデズ)のゴール後に泊まった、素晴らしいホテルをご紹介。
《山口和幸》

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