【オビナタの世界放浪記】夜行バスにはとにかく注意…リュックからスマホとお金だけ盗まれた話 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【オビナタの世界放浪記】夜行バスにはとにかく注意…リュックからスマホとお金だけ盗まれた話

ライフ ハウツー
【オビナタの世界放浪記】夜行バスにはとにかく注意…リュックからスマホとお金だけ盗まれた話
  • 【オビナタの世界放浪記】夜行バスにはとにかく注意…リュックからスマホとお金だけ盗まれた話
  • 【オビナタの世界放浪記】夜行バスにはとにかく注意…リュックからスマホとお金だけ盗まれた話
南米でバックパッカーをした人間で、長距離バスを利用しなかった例は聞いたことがない。

長距離バスが発達している南米では、思ったよりも快適に過ごすことができるが、注意しておきたいのは盗難だ。日本ではありえない感覚で盗難事件が多発するので、十分すぎるほど用心しなければならない。

僕は注意していたつもりだったがやられた。

ボリビアのウユニからラパスに向かう夜行バスで、旅の戦友ともいえるスマホと、旅用のサイフに入っていた全財産を盗まれた。2カ月を越える旅の中で特に大きな被害にはあっていなかったが、初めて南米らしい被害にあった形になる。

ブラジル・リオデジャネイロからすべて陸路で移動しているため、幾度となく夜行バスには乗っていた。被害に遭った人の話を聞いても、座席の上の棚に入れっ放しにしていたケースが多く、足もとに挟んで置いておけば盗難にあうことはないと思っていた。

甘かった。気づかなかった。

南米でのバスに乗る方は、常にリュックを胸に抱え、南京錠をしてから眠ることをオススメする。

同じバスに乗っていた西洋人3人も被害にあっていた。グループによる犯行だろう。しかし、いくら熟睡していたとしても、いつ起きるかわからない人間の足もとからこっそりリュックを漁り、スマホとサイフからご丁寧に中身だけ抜いていくとはどんな神経しているんだと改めて思う。

というか、なぜリュックごと盗まれなかったのか、今考えると少し不思議だ。

僕を含め4人で現地の警察に向かい、盗難証明書を発行してもらえるようにお願いした。4万円相当のジャケットを盗まれたというドイツ人女性は弁護士で、バス会社の過失を論理的に攻め立て、それを携帯を盗まれたというスペイン語の話せるスウェーデン人女性が訳していた。

ひとりだったら何も伝えられず泣き寝入りしていたかもしれないので、ある意味彼女たちに感謝している。

なにより辛かったのはスマホを盗まれたことだ。今回の旅でスマホの便利さを改めて思い知った。これがあれば困ることはほとんどなかった。初めのうちはすべてスマホのグーグル翻訳を用いて会話をしていたし、あらかじめグーグルマップ内で目的地周辺地図をダウンロードしておけば、オフラインでも地図が使えるためほとんど迷わない。

「暇なときは何してるの?」と聞かれることも多い長期旅行だが、私は電子書籍を読むことが多い。日本にいるときよりもかなりのハイペースで読書を進めている。誘惑が少ないというのも一因だ。

とにかく、スマホは今回の旅で大活躍だった。それが盗まれてしまったことは大きなダメージ。写真や動画もアウトだ。


お金も日本円にしたらたいした額ではないが、僕のようなバックパッカーには痛手だった。盗まれて間もない頃に金を求め寄ってきた浮浪者に、「ふざけんな、fuck こっちは盗まれて一文無し、No dinero(スペイン語でお金)なんだよ馬鹿野郎」と怒鳴ってしまったくらい、心を整えることができなかった(実際の発言を忠実に再現)。

とはいえ、ここボリビアの貧困状況からすれば、盗むことをひとつの「お金を得る手段」として選択する人がいるのは当然のことなんだと思う。

盗むことを悪とするモラルも、きっと育ちにくい。

これまで一度も使っていなかった予備に買っておいた安価なスマホで村上龍さんのエッセイ『すべての男は消耗品である』を読んでいた。盗難届が発行されるまでは、しばらく動く気が出ない。

食事をしている時にお金を求めて近寄ってくる少年、少女たちは日本で言えば小中学生程度の年齢。インドほどではないが、かなりの割合で子どもたちがお金を要求してくる。主に彼らが狙うのは海外からの観光客だ。

ボリビアで私に10日間スペイン語を教えてくれたミリアン先生が、「私は10年働いてもアルゼンチンにすら旅行に行けない」と話していたが、いくら僕が貧乏バックパッカーといえど、彼らより圧倒的にお金を持っているのは事実だ。

海外旅行に来れるくらいのお金を持っている外国人から、お金を「少しばかり拝借したっていいじゃないか」という価値観が芽生えるのは当然かもしれない。

昨日は夕方まで萎えていたけれど、いろんな人の話を聞いてむしろラッキーだな、と感じた。私はリュックごと盗まれたわけではなかったし、パスポートとクレジットカードはパンツの中に入れておいたため問題はなかった。

ラパスの宿にはバックパックごと盗まれ、カメラ、カメラのデータ、パスポート、お金など本当にすべてを失ってしまったスウェーデン人がいた。エジプト人もスマホをやられていた。英国人たちは、「クレジットカードやパスポートを盗まれていないだけまだマシだよ、南米ではよくあることさ」と話す。

そういえば、ウユニ塩湖でもバックパック、サブバッグのすべてをケチャップ強盗で盗まれた日本人にも会った。親切そうなおばちゃんに「液体がバッグについているので拭いてあげるよ」と声をかけられ、信用して荷物を道路に置いてしまったのだという。振り返ったら…あとはご想像の通りだ。

それでも注意をしていれば最低限にリスクは抑えられる。最大限注意を払って、盗難にあってしまったらもうそれは運が悪いと諦めるしかない。夜行バスに何度も乗ったが、棚に荷物を置いたまま寝ていても被害にあわなかった人だって大勢いる。運の問題は大きい。

また、これは感覚的な問題でデータとしてはないのだが、盗難手続きなどをしているなかで、ウユニ~ラパス間での盗難事件が多発しているような発言を何度か聞いた。その経路に向かう人は、特に用心し、値段が高くとも安心できるバス会社を探すことにしよう。
《大日方航》

編集部おすすめの記事

page top