【THE ATHLETE】イブラヒモビッチは自分らしくパリを去る…王様が演出した伝説の夜 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE ATHLETE】イブラヒモビッチは自分らしくパリを去る…王様が演出した伝説の夜

オピニオン コラム
ズラタン・イブラヒモビッチ 参考画像(2016年3月9日)
  • ズラタン・イブラヒモビッチ 参考画像(2016年3月9日)
  • ズラタン・イブラヒモビッチ 参考画像(2016年4月12日)
  • ズラタン・イブラヒモビッチ 参考画像(2015年11月3日)
  • ズラタン・イブラヒモビッチ 参考画像(2016年3月8日)
  • ハメス・ロドリゲス 参考画像(2016年3月8日)
5月14日のパルク・デ・プランスは伝説の夜になった。この日、パリ・サンジェルマンのズラタン・イブラヒモビッチはFCナント戦に先発、2ゴールを挙げ今季の得点を38に伸ばした。これはカルロス・ビアンチの記録を塗り替える、クラブのシーズン最多ゴール数だ。

■ズラタン伝説に新たな1ページ

試合前から主役はイブラヒモビッチだった。前日にパリSGからの退団を宣言、ツイッターで「王様のように現れて、伝説のように去る」とコメントした男の本拠地最終戦を見ようと、多くの観客が詰めかけた。


ズラタン・イブラヒモビッチ



ビアンチに並ぶゴールは前半18分。アンヘル・ディ・マリアが右サイドから上げたボールを、倒れ込むようにして身体に当て押し込む。綺麗なゴールではないかもしれないが、どんな形でも得点するんだという気迫のこもった今季37得点目。

その後イブラヒモビッチは2得点に絡む活躍を見せるが、新記録となるゴールはないまま時計の針が進む。記録更新は不可能かと思われたが後半44分、ハビエル・パストーレのクロスに頭で合わせてゴールネットを揺らした。今季38得点目はイブラヒモビッチらしい、打点の高いヘディングシュートだった。

記録にも記憶にも残るゴールを決めたイブラヒモビッチだが、彼の王様のような振る舞いはこれで終わらなかった。ふたりの息子をピッチに呼び寄せ、そのまま一緒に退場したのだ。すでにパリSGは交代枠を使い切っており、代わりの選手を入れられない状況だったにも関わらずである。

まさに不遜。イブラヒモビッチでなければ許されない。

■一大プロジェクトの中心人物として過ごした4年間

パリSGでの本拠地最終戦を終えたイブラヒモビッチは、このスタジアムで戦う最後のホームゲームを感慨深げに振り返っている。

「今日はとても気持ちが高まった。ここでは最高の4年間を過ごした。今日は考え得るなかで最高の締めくくり方だった。本当に満足している。気持ちを言葉で言い表せないよ。素晴らしい一日だったし、僕の中に永遠に残るだろう」

2011年5月にパリSGはカタール資本によって株式の大半が買い占められた。翌年には残る株式も購入し、現在ではカタール王族ともつながりを持つナーセル・アル=ヘライフィー氏が会長を務めている。彼らの目標は明確だ。欧州最高峰の大会UEFAチャンピオンズリーグ(CL)で優勝すること。この目標のためにアル=ヘライフィー会長らは巨額を投じ、常に移籍市場を賑わせている。



このチームにイブラヒモビッチは2012年の夏にやって来た。一大プロジェクトの目玉として迎え入れられた彼は、初年度から30得点でリーグ・アン得点王を獲得、チームも19シーズンぶりにリーグ制覇を成し遂げている。

長くリーグ・アン優勝から離れていたチームは、イブラヒモビッチを加えた年から今季まで4連覇を達成した。その間にCLでも4年連続ベスト8まで進んでいる。

自身の在籍時に大躍進したチームを、「僕が来てからパリSGは大きく変わった。僕らが来てからすべてがスタートしたが、すべてがとても早く成長した。素晴らしい4年間を過ごしたよ」と穏やかな顔で語った。

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《岩藤健》

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