アウトドア最強!? カシオのスマートウォッチ「WSD-F10」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

アウトドア最強!? カシオのスマートウォッチ「WSD-F10」

ウェアラブル 国内
白黒表示時にはディスプレイの消費電力をセーブする
  • 白黒表示時にはディスプレイの消費電力をセーブする
  • カシオにとって初めてのAndroid Wear搭載スマートウォッチとなる「WSD-F10」
  • 1.32インチ/320×300ピクセルのサークル型液晶ディスプレイを採用
  • 樹脂製のベルトは横幅も広め
  • 側面に電源ボタンのほかTOOL、APPボタンを搭載
  • 「TOOL」ボタンを押すと、コンパスに高度計、気圧計、日の出日の入りの時刻、釣りに便利な潮汐グラフ、ユーザーの活動時間を表示する活動グラフなどが呼び出せる
  • 充電用の端子は特殊な形状を採用
  • スマートウォッチにインストールされているアプリの一覧
 アップルが初のスマートウォッチ「Apple Watch」を発売してから間もなく1年が経つ。あれから今日まで、Apple Watchの話題性を超えるスマートウォッチがなかなか出てこなかったが、2016年の幕開けとともに、あの腕時計の名機「G-SHOCK」シリーズを展開するカシオが初めてAndroid Wearを搭載する本格的なスマートウォッチ「WSD-F10」を発表した。

 G-SHOCKといえば堅牢性と実用性、そしてデザインが絶妙にマッチした腕時計として多くのファンを魅了してきたブランドだ。今から約20年前、筆者が大学生だった頃はさまざまな限定版G-SHOCKが発売され、学生がバイトで貯めたおこづかいでも買えるコスパの高い腕時計だったので、クラスや部活のみんなが着けていたほど大人気の腕時計だった。そのG-SHOCKを開発するカシオが、今回アウトドアシーンに強いタフネス設計のスマートウォッチとして発売した「WSD-F10」に期待を寄せているファンも多いだろう。

 カシオは今年の1月にラスベガスで開催された家電ショー「CES 2016」で新製品「WSD-F10」を発表した。海外でもカシオのG-SHOCKシリーズの誉れは高く、CESで発表されたさまざまなスマートデバイスのなかでも同機はひときわ脚光を浴びていた。残念ながら“G-SHOCK”のシリーズが付けられることはなかったが、外観のデザインは比較的それに近く踏襲した仕上がりとなっているのが好感触だ。カラーバリエーションにはオレンジ/グリーン/レッド/ブラックの4色が揃う。価格は7万円(税別)だ。

 同機はすでに国内で発売中だが、今回はカシオから発売前の試作機を借りてテストした。実機のサイズ感は、一般的なスマートウォッチに比べると少し大きな印象。腕に着けてみると、重さもしっかり感じる。フレームは樹脂素材でできているが、かなりガッシリとした作りだ。堅牢設計はスマートフォンのトレンドにもなっているが、米軍が調達する物資の調達規格である「MIL規格」に本機は準拠している。おそらく落としたり、靴で踏んだりしたぐらいでは簡単には壊れないだろう。

 着用したまま水仕事や水泳ができる「5気圧防水対応」としている。フレームに若干厚みがあるので、ワイシャツの袖口のボタンをとめてしまった後からでは、時計を着けたままだと手首が通せなかった。

■アウトドアに強いのが特徴

 機能はアウトドアシーンでのアクティビティをサポートするものを中心にハイライトされている。スポーツ用のウェアラブルとしてもある程度機能は充実しているのだが、より表側にフィーチャーしているのは「アウトドアシーンに最適なスマートウォッチ」というキャラクターだ。Apple Watchなどが搭載する心拍数センサーは非搭載。ヘルスケア機能は弱い印象。スポーツに関してはトレッキングにサイクリング、釣りの3種目がメイン。GPSモジュールは本体に乗っていないので、ペアリングしたスマホのGPSを代用ていろいろな機能をカバーする。

 例えばフィットネスアプリの「Runkeeper」も時計の側にプリインされているが、ランニングやウォーキングを楽しむ際にはペアリングしたスマホも一緒に持ち歩く必要がある。GPSを活用して山の中でも地図がチェックできる「YAMAP」アプリもスマホとの連携が必要。トレッキングをスマートに楽しめるギアを掲げるのであれば、時計自体にGPSを内蔵してほしかったところだ。なお動作温度範囲のスペックは0度~40度となるので、冬山での登山時には注意深く扱いたい。

 OSにはAndroid Wearを搭載しているので、Androidスマホには「Android Wear」アプリからペアリングしてから詳細を設定する。ペアリング後には他のAndroid Wear搭載のスマートウォッチと同様に、OK Googleによる音声コマンドなどが使用可能だ。iPhoneにもiOS版の「Android Wear」アプリを使ってペアリングができるが、次段「WSD-F10」の機能を100%使いこなすためには、発売時点ではAndroidアプリのみがリリースされている「CASIO MOMENT SETTER+」が必要になる。その他、いろいろな機能がiOSの場合は使えないことが多いので、同機の購入を検討されている方はAndoridスマホも用意しておくべきだと思う。

 「CASIO MOMENT SETTER+」アプリを起動すると、スマートウォッチの右側面にある電源ボタンを約2秒長押して表示されるアプリ一覧の画面に「アクティビティ」というメニューが追わって、登山やトレッキング、フィッシングにサイクリングなどのアクティビティに最適化された機能が使えるようになる。例えばサイクリングを選択すると、自転車による走行速度や距離、時間などのデータを手元の時計の画面上で素速く確認できたり、あるいは走行中に一定の距離に到達したらアラートを出し、停車したらこれまでの走行距離を表示するなど、アクティビティをサポートする便利な通知表示をカスタマイズしながら使えるようになる。

 ウォッチフェイスは時計単体でもディスプレイを長押ししてから好みの表示に切り替えられるのだが、「CASIO MOMENT SETTER+」アプリから設定すれば文字色の色指定なども細かく行える。また本体フレームの右側上下にある「TOOL」ボタン、や「APP」ボタンによる操作もカスタマイズが可能だ。「TOOL」ボタンを押すと、コンパスに高度計、気圧計、日の出日の入りの時刻、釣りに便利な潮汐グラフ、ユーザーの活動時間を表示する活動グラフなどが呼び出せる。それぞれの機能は画面を上下方向にスワイプするか、TOOLボタンのクリックで切り替わる。

 APPボタンにはカメラのシャッターやカレンダーなど、スマートウォッチにインストールされているアプリからよく使うものをワンクリックで立ち上がる機能に割り当てておくと便利だ。

■モノクロとカラーの液晶を重ねた2層構造ディスプレイ

 G-SHOCKのテイストを継承する本体の外観もなかなか秀逸だが、それにも増して多彩な機能を一画面のなかに見やすく、スタイリッシュに配置したウォッチフェイスのデザインはよく考え抜かれていると感じた。普遍的な「オーセンティック」のほか、高度計を表示する「高度」や「世界時計」などオリジナリティの高いデザインを7種類も用意する。

 なかでも特徴的なのが「2レイヤー」だ。同機のディスプレイ部分はモノクロとカラーの液晶を重ねた1.32インチの2層構造ディスプレイになっている。さまざまな計測情報やアプリはカラー表示で視認性を高めながら、反対にあまり画面を見ていない時にはモノクロ液晶だけで時刻のみを表示することで、電池を賢く長持ちさせる。実機を使ってみたところ、通常の使い方をしていてもバッテリー寿命はフル充電から丸々2日ほど持ちこたえてくれた。

 さらに電源ボタンを長押しすると表示されるアプリ一覧の中にある「タイムピース」を選択することで、Android Wearの機能をオフにして、モノクロ液晶による時刻表示だけをアクティブにする省電力設定「タイムピースモード」も備えているので、アウトドアで使っている際にバッテリー残量の低下をなるべく抑えたい時に役に立つ。バッテリーの充電ケーブルが一般的なmicroUSBではなく、同機専用のマグネット圧着式の充電端子仕様のケーブルなので、アウトドアでのアクティビティにもこれを忘れずに持ち歩くようにしたい。

 Androidスマホのユーザーなら、カシオが発売した筐体が二つに分離してフリーアングルで静止画・動画が撮影できるデジタルカメラ「EXILIM EX-FR100」にペアリングすれば、時計の画面をファインダーにしながらリモートシャッター機能を駆使して写真が撮れる。撮った画像は時計の画面上でもすぐにプレビューできるのが便利だ。スマートウォッチの「EXILIM Controller」からスムーズに操作できるが、iOSのプラットフォームには対応していないので注意したい。同機能はぜひ、EX-FR100以外のEXILIMシリーズのカメラなどにも対応の幅を広げてほしいものだ。

 「WSD-F10」はビジネスシーンで使ってももちろん構わないのだが、アウトドアレジャーでこそ真価を発揮するスマートウォッチだ。ハードな使用に耐える堅牢性の高いボディは、質感もまさに男のギア。反対に、その重さが女性にはやや負担に感じられるかもしれない。Apple Watchが戦略的に価格を引き下げてきた中で、7万円(税別)という、やや高値な価格設定が販売にどう影響するだろうか。

 従来からG-SHOCKブランドの腕時計を愛用するファンや、アウトドアレジャーシーンにも、タフに使えるスマートウォッチを求めていたユーザーに価値をわかりやすく伝えることが肝要だ。第2弾・第3弾のモデルが続いてきたときには、ぜひG-SHOCKも含めたシリーズネームを付けることも検討してほしいと思う。

協力:カシオ

【オトナのガジェット研究所】まさに男のギア!アウトドア最強の“カシオ初”スマートウォッチ「WSD-F10」

《山本 敦@RBBTODAY》

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