【山口和幸の茶輪記】一度は上ってみたいツール・ド・フランスの峠10選(3~1) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】一度は上ってみたいツール・ド・フランスの峠10選(3~1)

スポーツ 短信
ツール・ド・フランス最高の大舞台、ラルプデュエズ(アルプス)
  • ツール・ド・フランス最高の大舞台、ラルプデュエズ(アルプス)
  • 幾多の伝説を生んだガリビエ峠(アルプス)
  • ガリビエ峠の南面にはツール・ド・フランス創始者アンリ・デグランジュの記念碑がある
  • 幾多の伝説を生んだガリビエ峠(アルプス)
  • 大会の転機となったツールマレー峠(ピレネー)
  • ツール・ド・フランス最高の大舞台、ラルプデュエズ(アルプス)
ツール・ド・フランスの総合優勝を争う勝負どころとなる秀峰を10カ所選んで紹介する連載コラムはいよいよベスト3。大会の期間中でなくてもヨーロッパのサイクリストが走りにやってくるスポットで、いつかは上ってみたい。絶景とともにその過酷さが味わえるはずだ。

■幾多の伝説を生んだガリビエ峠(アルプス)
アルプスのガリビエ峠(Col du Galibier)は2645mで、ツール・ド・フランスがよく通過する峠の中では最高峰だ。2015年のツール・ド・フランスでも最高峰としてコースに加えられたが、ラルプデュエズに向かうルートが崩落により通行できなくなり、ガリビエ峠はカットされた。

南面からのアプローチではロータレ峠からさらに上を目指す。ロータレ峠までは緩斜面だが、そこからはセンターラインのない狭い道となり、草木のない岩肌を突き進む。大会の記録集を見るとガリビエ峠の標高は2645mと2556mの2つの表記があるが、低いほうは峠の下を貫通するトンネルをコースにしたときのもの。

南面のトンネル出口にはツール・ド・フランス創始者アンリ・デグランジュの碑が建てられている。その年の最高標高の峠には「アンリ・デグランジュ記念賞」という特別の賞金が設定されるが、ガリビエ峠がコースに採用された年はこの峠に記念賞がかけられることがほとんど。

■大会の転機となったツールマレー峠(ピレネー)
1910年の第8回大会で当時の常識をはるかに超える難攻不落の峠が設定された。その筆頭が標高2115mのツールマレー峠(Col du Tourmalet)だ。周囲は針のように屹立した山岳が取り囲み、真夏でも天候が崩れれば降雪する。そんな過酷な条件が勝負どころとして定着し、大観衆が沿道を埋め尽くすようになった。ツールマレーはピレネーの重要な拠点であり、毎年のように登場することも人気の秘けつ。

普段はヒツジの鳴き声や牛の鈴が風に乗って聞こえてくるだけの美しい原野だ。1913年にフレームを欠損したクリストフが鍛冶屋に飛び込んで溶接したというサントマリー・ド・カンパンは東麓側に16.5km下ったところにある。

■ツール・ド・フランス最高の大舞台、ラルプデュエズ(アルプス)
アルプスの大岸壁をジグザグによじ上る激坂の頂上にあるスキーリゾートがラルプデュエズ(Alpe d’Huez)だ。

距離13.8kmで、平均勾配7.9%。最初の2kmが10%超、ラスト5kmから4kmまでが11.5%という。ふもとのブールドワザンからラルプデュエズ入口までのコーナーには21から1までの数字が振られ、カウントダウンしながら上る。コーナーごとにオランダやデンマークなど各国の応援団が占拠し、異様な盛り上がりを見せる。かつては「オランダ人の山」とも言われるほどオランダ勢が優勝することが多く、オランダファンが大挙してやってきたのがきっかけ。

ふもとの町ブールドワザンからラルプデュエズのゴールまで13.8kmの最速記録は、1997年にマルコ・パンターニが記録した37分35秒。平均時速は22km超で、しかもパンターニは、1994年に38分(このときはコンティが先行して優勝した)、1995年に38分04秒で駆け上がり、1人でベスト3の記録を持っている。ちなみに2004年にはラルプデュエズで史上初の個人タイムトライアルが行われた。このときはブールドワザンの中心地からスタートしたので距離は15.5km。ランス・アームストロングが39分41秒でトップタイムを記録した(現在記録は抹消)が、序盤の平坦区間のタイムを差し引いてもパンターニには及ばなかった。

現地を訪れると計測開始地点に「デパール=スタート」という横断幕があり、ゴール地点に「アリベ=ゴール」の看板があるので、一般選手も計測することが可能。その数字をメモしてツーリストインフォメーションに行くと、記録証を発行してくれる。
《山口和幸》

編集部おすすめの記事

page top