ベネッセ、原田泳幸社長に聞く――トライアスロンにかける想い その2「競技から学んだこと」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

ベネッセ、原田泳幸社長に聞く――トライアスロンにかける想い その2「競技から学んだこと」

オピニオン ボイス
トライアスロンに挑戦するベネッセホールディングスの原田泳幸社長
  • トライアスロンに挑戦するベネッセホールディングスの原田泳幸社長
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  • トライアスロンに挑戦するベネッセホールディングスの原田泳幸社長
ベネッセホールディングス代表取締役会長兼社長の原田泳幸さん。1948年、長崎県生まれの66歳。

アップルコンピュータ(現アップルジャパン)代表取締役社長、日本マクドナルドおよび日本マクドナルドホールディングス代表取締役会長兼社長兼CEOを歴任し、2014年6月から現職。

子どものころから水泳などのスポーツに親しみ、64歳でトライアスロンを知った。経営者としてビジネスの世界で多忙な毎日を過ごす中、トライアスリートとして日々トレーニングに精を出す。

スイム、バイク、ランの3種目をこなすトライアスロン。原田さんが競技にかける想いを聞いた。


(c) YUTAKA/アフロスポーツ

---:トライアスロンへの挑戦は「欲がでてきたから」だそうですね。

原田泳幸さん(以下、敬称略):トライアスロンは3種目違いますよね。どんな世界なのだろうとやってみたくなったのが最初です。水泳はずっとやっていましたが、海で泳ぐのはプールで泳ぐのとまるっきり違います。子どもの時は、海では遊びで泳いでいるじゃないですか。潜ったりとかね。

でもトライアスロンというのは波があるし潮もある、そこを延々と1500メートルとか泳ぐんですよね。それに線も引いていない。最初海に行って練習した時、ものすごく疲れました。100メートル泳げないぐらい。海の怖さとか、恐怖心を乗り越えるのが一番大変です。

ヨーイドンでスタートした時に、人と人がぶつかってバトルになるわけですが、最初の50メートルくらいで上級者でも溺れることがあるらしいです。トライアスロンは自分のセルフコントロールという意味では、マラソンとは違ったペース配分を考えないといけないし、自然と闘っては負けるし、自然に身をまかせては進まない。そこのバランス、絶対に動揺しないで淡々と自分を信じていくしかない。力を抜いて。それがやりがいです。

7月の宮崎シーガイアトライアスロン大会は台風でスイムが中止になり、(その代わりに)いきなりビーチラン1キロと言われたんです。ビーチラン1キロはキツいですよ。その1キロを5分29秒で走ったんです。これはだいたいマラソンを4時間ぐらいで走るペースです。砂浜で、足跡しかないところを走って、マラソンのペースで走るのですからこれはキツかったです。足跡だらけでフラットなところが無いくらい、そこを1キロ…。

---:その時、靴は履いているのですか?

原田:履いていました。(履かなくても)どちらでもよいのですが、砂浜をずっと走るので足をケガするかもしれないので。その後のバイクは、台風が来ていましたから、(周回コースの)帰りが向かい風だったんですよ。この向かい風に向かって行くのがキツかった。

コースはゆるやかな上り下りを2往復するのですが、上りは追い風で、下りが向かい風でした。普通は下りで(スピードを上げてタイムを)稼ぐのですが、それが向かい風のためスピードがでなくて、(風が)ドーンときます。こうやっているしかない(と体を小さくしてエアロポジションの姿勢の真似をする)。


(c) YUTAKA/アフロスポーツ

---:トライアスロンのレースに参加する時の心持ちを教えてください。

原田:正直に言うとスイムの前は怖いですよ。潮に流されるかなとか、バトルでぶつけられるかなとか、ありますからね。その怖さを乗り越えるには冷静になって、徹底的に力を抜くことです。もう、海の上で寝てるぐらいのリラックス感がないと。それでもレースですから力が入ってしまいます。

ですからスイムの練習のときも、休みながら泳ぐ練習をしています。練習のときにも、ものすごくハードに泳いだあと、ゆっくり行けと言われる。今度はゆっくり行ったらハードに行けと。つまりインターバルを練習するんですよ。疲れたら休むという練習です。

---:レース中だけど休む?

原田:そうです、腕もダラダラになるくらいでちょうどいいんです。

---:レース後はどんな感じですか?

原田:レースが終わった瞬間は疲れていますが、あっという間ですよ。マラソンの時もそう。その日はみんなで宴会をして、ビールを飲んで。次の日はまたジムに行ってトレーニング。毎回そうです。レースの疲れで足を引いて歩くようなことはないですね、ずっとトレーニングしていますから。週に2回、ウェイトトレーニングをトレーナー付けてやっています。

レース後に体がどこかおかしくなることはないですが、逆に練習の時の方がケガをしますね、練習しすぎで。平均年に1回はケガをしています。腰とか足とか。最近はこれ以上やったらケガするなっていう限界、予兆が分かるようになってきたので、その時は休みます。何回もケガするとそうなりますね。これで無理したら腰にくるなとか。特にいちばん怖いのが腰ですよね、そこを痛めたら走れないですから。


(c) YUTAKA/アフロスポーツ

---:トライアスロンを通じてどんなことを学びましたか?

原田:やはり、身の丈を越えないと成長しません。ただし、身の丈を越えすぎるとケガをする。ケガをした時に休むと、身の丈自身が縮まってしまう。ですからケガをした時は身の丈以内で練習を続ける。もう、それが自己管理ですよ。

身の丈を越えないとトレーニングにならないですが、身の丈を越えるというトレーニングを自分でやるのは辛いので、やはりトレーナーがいないと難しい。昨日もトレーニングをしてきましたが、なんでこんなことやるんだろうって(笑)。(練習の時には)トレーナーに身の丈を越えさせられるんですよ。

---:ケガをしそうな時だけブレーキをかける?

原田:トレーナーに、「ちょっと予兆が来てる」と言うと緩めてくれる。同じトレーナーで5年以上やっていますからね。それでないと、その時その時でトレーナーが変わると危ないですよ。パッと最初のトレーニングをやっている私の姿を見て、調子がいいとか悪いとかすぐ分かってくれます。

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ベネッセ、原田泳幸社長に聞く――トライアスロンにかける想い

その1 「始めたきっかけ」
その2 「競技から学んだこと」
その3 「夢はアイアンマン完走」
《五味渕秀行》

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