---:どのように日々活動されているのですか?
自分は「逆輸入」タイプで、日本ではほとんど知られていないんですね。でもUFCに出るようになってからサポーターとか応援して下さる方が出てきてくださるようになりました。以前はすごく格闘技に人気がある時期があったんですよ。それこそ、大晦日には2局くらい格闘技の番組があったり、地上波でも定期的に放送されたり。それが今ではなくなってきて…。
最近はUFCの影響などで、格闘技の人気は再び盛り返してきているところにあるんです。その風をなんとか吹かせ続けることができないか、そう思っています。競技として、一般の人に伝わっていない部分があるんですね。"総合格闘技"と言われても、K-1やPrideとかの違いがわからなかったり。
「金網の中で試合をするんですよ」と言うと金網デスマッチのような、何でもありの殺し合いみたいなものを想像してしまう方がいます。ここをいかに一般の方にひとつの競技として知ってもらうのか、というのが自分たちの課題だと思っています。やはり、人に見られてナンボの競技であるので…。自分ができる限りは競技の知名度、理解の向上などに貢献できるように取り組んでいます。

UFC 参考画像
---:どういった方法で貢献しようと動いていますか?
選手としては、この格闘技はそれこそ「やるかやられるかの殺し合い」だととらえていますが、総合格闘技そのものの本質は「スポーツ性」にあると思っています。きちんとしたルールがあって、オクタゴンと呼ばれる8角形の金網のリングの中でレフリーがコントロールする。
投げ技、組み技、打撃。様々な技があり、相手が倒れてもレフリーが止めない限りは戦いが続いていく。そこがボクシングやキックボクシングと異なる部分です。一見「何でもあり」というように見える状態の中にはきちんとした統一性、ルールがあり、その秩序の中で試合は行われているスポーツなんだよ、と自分は説明するようにしています。
ただ、総合格闘技は歴史が浅いスポーツなので、礼にはじまり礼で終わるような、格闘技の大切な部分を忘れがちになってしまう部分もあるんです。ビジネスとかエンターテインメント性が重視されていくようになると特に。しかし、当の選手たちはそれこそ「やるかやられるか」の戦いで試合に臨んでいるわけです。
みんなそれぞれストーリーがあって、そういうところも魅力だと思います。運営側が、各選手の歴史、試合にかける想いなどをひとつのコンテンツとしてどう料理して伝えていくか、という部分も大きなポイントですし。
ただ単に古い体質のお堅い格闘技では響かないと思いますし、エンターテインメント性ばかりを重視して、「誰が勝った、誰が一番だ」というだけでいけないと思います。アメリカはその中で根本的にフェアですし、実力主義です。スポーツビジネスの土台もしっかりしているので、現に普及しているという点があります。ロールモデルとして、日本も見習わなくてはいけないと思いますね。
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