【山口和幸の茶輪記】ワールドカップ日程と重複するとき、ツール・ド・フランスは常に海外へ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】ワールドカップ日程と重複するとき、ツール・ド・フランスは常に海外へ

オピニオン コラム
2002年・FIFAワールドカップ日韓大会の決勝「ブラジル対ドイツ」が行われた横浜スタジアム
  • 2002年・FIFAワールドカップ日韓大会の決勝「ブラジル対ドイツ」が行われた横浜スタジアム
  • 1998年・FIFAワールドカップでフランスの初優勝の立て役者となったジネディーヌ・ジダン
  • 1998年のツール・ド・フランスは大荒れに。アイルランドに行くため港に向かっていたチームカーの中から血液ドーピングの証拠が発見され、リシャール・ビランクらが大会から排除された。これがフェスティナ事件だ
  • 2002年・FIFAワールドカップ日韓大会の一番人気はイングランドのデビッド・ベッカムだった
  • 【山口和幸の茶輪記】ワールドカップ日程と重複するとき、ツール・ド・フランスは常に海外へ
4年に一度のサッカーW杯(FIFAワールドカップ)は毎回6月上旬に開幕し、およそ1か月の日程で開催される。つまり決勝は7月第一週、あるいは第二週の日曜日だ。ということで4年に一度、ツール・ド・フランスはワールドカップとみごとに日程がカブることになる。

欧州のメディアではオリンピックとワールドカップとともに「世界三大スポーツ大会」と呼ばれるのが世界最大のこの自転車レース。たいていは7月第一週の土曜日に開幕し、23日後の日曜日にパリに凱旋する。スタジアムを飛び出してフランス全土3500kmを駆け巡るのだから、その規模は三大大会にふさわしい。

日本が初出場した1998年フランス大会の時、ツール・ド・フランスは開催日程の重複を最小限にとどめようと7月11日開幕と異例の遅さをもって配慮した。やはり世界の関心事がサッカーに集まり、そして新聞もテレビもサッカー一色になると、どうしてもツール・ド・フランスへの興味は薄れてしまうからだ。

1998年フランス大会での重複はそれでも2日。そこでツール・ド・フランスはさらなる大英断を敢行する。開幕からの3日間をアイルランドで過ごしたのである。

これならツール・ド・フランスを見たことがないアイルランド市民が注目してくれる。その作戦はみごとに的中するとともに、フランスサッカー代表チーム「レ・ブルー」は決勝戦でブラジルを破り、初優勝を飾るのである。ツール・ド・フランスがアイルランドを走っているころ、パリのシャンゼリゼ大通りに凱旋したレ・ブルーを大観衆が取り囲んで大騒ぎしていた光景が印象的だった。

1998年の海外開幕が成功したことで、ツール・ド・フランスは律儀に4年に一度、海外で開幕することが常になった。2002年日韓大会の時はルクセンブルクを指名。2006年は開幕地としてはフランス国内のストラスブールだったが、W杯が大詰めの決勝リーグを戦っているときはベネルクス三国、ステージ順に言うとルクセンブルク、オランダ、ベルギーを歴訪した。

2010年はオランダのロッテルダムで開幕。そして2014年、W杯とツール・ド・フランスは9日間の重複があり、ツール・ド・フランスは7月5日に英国のリーズで開幕。3日間をかけて首都ロンドンまで南下する。サッカーワールドカップの決勝はブラジル現地7月13日だ。
《山口和幸》

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