宇宙が予想より速く膨張していると予測…H0LiCOWコラボレーション | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

宇宙が予想より速く膨張していると予測…H0LiCOWコラボレーション

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宇宙が予想より速く膨張していると予測…H0LiCOWコラボレーション
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H0LiCOWコラボレーションは、ハッブル宇宙望遠鏡やハワイのすばる望遠鏡など複数の望遠鏡を用いて、宇宙の膨張率の値であるハッブル定数を従来の方法とは異なる方法で調べた結果を発表した。

ハッブル定数は、強い重力レンズ効果を引き起こしている5つの銀河を観測して調べた。その結果は、これまで行われてきた超新星やセファイド型変光星の観測で得られたハッブル定数の値と極めて一致していたが、プランク衛星による宇宙背景放射の観測で得られた宇宙初期の観測に基づくハッブル定数の値とは一致しなかった。

プランク衛星で確かめられたハッブル定数の値は、現在の標準的な宇宙論モデルから期待される値と一致しているが、今回のような局所宇宙のさまざまな観測から求めた値とは一致していない。

チームを率いるドイツのマックス・プランク物理学研究所等に所属するSherry Suyuは、「高い精度を持った異なる方法で宇宙の膨張率を測ろうという取組みが始まっています。高精度の異なる方法により、現在の我々の宇宙に対する理解を超える新しい物理がこの矛盾から示される可能性があります」と述べている。

今回の観測は、地球から大きく離れた場所にあるクェーサーとの間に位置する大質量の銀河を対象に行われた。より遠くのクェーサーからの光は、強い重力レンズ効果を引き起こすような大質量銀河の周囲で曲げられるため、背景のクェーサーが複数の像に分かれたりアーク状に引き伸ばされた像が作り出される。

しかし、レンズとなる銀河は完全に球形の歪みを生み出すことはできず、レンズ銀河とクェーサーが完全に一直線に並んではいないために、背景となっているクェーサーの複数の像からの光はわずかに異なる距離の経路を辿る。

クェーサーの輝きは時間によって変化するため、異なる像が異なる時刻に明滅する様子を見ることができるが、その時間の遅れは光がやってくる経路の長さに依存する。この遅れがハッブル定数の値と直接的に関係しており、シンプルにハッブル定数を測ることができる。研究チームは、複数の像の間での時間的遅れを正確に観測し、高い精度でハッブル定数を確かめた。

クレジット:ESA/Hubble,NASA, Suyu et al.
《美坂柚木》

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